さまざまな原因で起こる不登校・引きこもり。時には、親子関係に主な原因があり、親子関係によってそのような状態になることはあります。
この事実を親御さんが知ったとき、大きなショックを受けるでしょう。
しかし、子育てのすべてが間違っていたわけではありません。愛情がなかったとか、そういうことではないのです。
そもそも、子供が不登校や引きこもりになったからと、一生懸命考え、悩み、カウンセラーなどを調べる親御さんに、愛情がないはずはないのです。
子供のために良かれと思ってなしたことが、すべて親の思い描いた通りの結果になるわけではありません。なんせ人間相手のことなのですから、思っていたこととは全く逆の結果が出ても、仕方がないのです。例えば、子供への指示命令が多いと、子供によっては不登校や引きこもりになることはあります。
では、子育てで指示命令をすることが間違っているのかというと、そんなことはありません。子供が悪いことをしたとか、子供まったく判断が使いない場合などは、親が指示命令をしないと、子供にはまったくわかりません。それ自体は必要なのです。
問題は、そのバランスです。
子供のことを思うあまり、つい指示命令が多くなりすぎると、子供の自主性が十分に育たなかったり、あるいは親への反発心が拡大して、不登校や引きこもりになってしまうわけです。
つまり、子育ての何もかもが悪かったのではなく、大部分はそのままで大丈夫であり、
一部分を変えた方がいい、ということです。その一部分を変えさえすれば、不登校も引きこもりもよくなります。
100%正しい子育ても、100%間違った子育てもありません。普通は、その間にあります。今の日本は、子育てや教育の知識が多いので、虐待などを除くと、うまく子育てをなさっておられるのです。
ところが現代は難しい世の中であるので、うまく子育てしていても、不登校や引きこもりになることがあるのです。
子供が不登校・引きこもりになって、
「自分の子育ては間違っていた」
と落ち込むのは、親御さんの精神上、よくないのですが、それとは逆に、
「い~や、自分の子育ては完ぺきだった。子育てに何か原因があって、
子供が不登校や引きこもりになるはずがない」
と意固地になってしまうのも、不登校・引きこもりの解決が難しくなってしまいます。100%の人間はいません。100%正しい人は、神様ぐらいのものです。
ですから、心を柔らかくして、
「どこに原因があったのだろうか」
と内省することが、不登校・引きこもりが良くなるきっかけとなります。
現代は13万人の子供たちが不登校になっています。
「不登校は特別なことではない」
ということなのですから、お子さんが不登校になっても、できるだけショックを受けずに、「ああ、自分のところもそうなんだ」
と冷静にとらえていただけると、お子さん自身が楽ですし、親御さんも落ち込まずに済むと思うのです。