このタイトルを読まれて、ちょっと驚いたお母さんもいらっしゃるでしょう。
子供が成人し、独り立ちすると、たいていお母さんのことは、
あまり顧みられません(お父さんのこともそうですが)。
たまに、「どうしてるかな」と思うぐらいで、
一年に1度か、2度、会いに行く程度、普段はほとんど、
お母さんのことを考えることはありません。
きつい表現をしますと、お母さんのことを捨ててしまって、
我が人生を歩んでいるのです。
お母さんにとっては、
「あれだけ一生懸命子育てしたのに、子供は親のことを顧みない。
薄情なものだ」
と嘆いてしまうような、子供の接し方です。
しかし、この状態は、実は子育ての成功と言えます。
子供からうまく「捨てられて」いるということは、
子供が自分の人生をしっかりと生きていて、
もはや親の支援を必要としていないということでもあります。
人生において成功しているのです。
もし子供が、いつまでたっても母親の支えを必要としているのでしたら、
それは子供が独立しておらず、成功者になっていないことを
意味しています。
お母さんにとっては、いつまでも自分を頼ってくれて、
一見、いいように思えますが、本当は問題なのです。
子供に「母親のことを捨てている」と意識させず、子供が高く昇っているのを見守っているお母さんが、「できた」お母さんであり、そうした「縁の下の力持ち」に徹するところに、母親としての美徳があります。
潜在意識下で、子供が自分から離れていくのを嫌がっているお母さんの場合、
子供はいつまでも独立しません。いい年をしているのに働かなかったり、結婚をしなかったりしていることに、
「うちの子は一向に一人前にならない」
とぼやくお母さんがいらっしゃいますが、
お母さんが潜在意識下で、子供の独立を嫌がっているので、
それに子供が応えているということがあるのです。
つまり、子供がお母さんから独立していないのではなく、
お母さんが子供から独立していないのです。
子育てが一段落し、子供が独立したら、
お母さんとしても、
「うちの子は元気にしているかな」
とたまに考えるぐらいで、
あとは我が道歩んでいく、ぐらいでちょうどいいのかもしれません。