「混乱期」→「安定期」→「転換期」→「回復期」
というプロセスで変化していく不登校ですが、
転換期において、勉強のよきライバルがいると、
学力を早く取り戻すことができます。
子供が外の世界に関心を持ち始める転換期、
学校に戻る準備のためでもあるこの期間においては、
落ちてしまった学力をいかに取り戻すかが、
再登校のためのカギとなります。
外の世界に関心を持ち始め、
塾やフリースクールに行ってみたものの、
学力や体力が落ち、机に向かうことができなくなっている
場合があります。
勉強をさせようとしてみても、机に突っ伏してしまい、
「疲れた」
と言うばかりで、勉強になかなか集中できないような状態。
その状態がよくならなければ、学校で長い時間、授業を受けることは
できませんし、学力を取り戻せなければ、学校に戻ろうという気持ちに
なかなかなれないでしょう。
「勉強しなさい」
とあまり厳しく言ってしまうと、転換期から逆戻りしてしまう
可能性がありますので、難しいです。
フリースクールなどに行っても、復学できる割合は50%程度と言われていますが、
その難しさがうかがえます。
しかし、ある本を読んでいて、あるフリースクールで通常の塾のように勉強させる
カリキュラムを取り入れ、そこで同年代の子供たちと切磋琢磨することによって、
復学する可能性を飛躍的に伸ばした、という事実に驚きました。
そのフリースクールでも、子供たちに勉強を教えることをカリキュラムとせず、
基本的には子供の自由にさせていました。
復学率は50%程度で、他のフリースクールと変わりません。
何とかもっと、復学率を上げたいと考え、出した答えが、
来ている子供たちすべてに、勉強を教えるということでした。
一人の例外もなく、です。
その体制に変えるべきかどうか、フリースクール内でも賛否両論ありました。
来ている子供たちが、勉強の場に変わることに抵抗を感じ、
家に戻ってしまうのではないかという危惧は、当然のことながらありました。
それでもすべての子供たちに勉強を教える体制に踏み切りました。
もちろん、嫌がる子はいて、これでよかったのか、悩みはありましたが、
ある小学生の男の子二人の出来事で、
うまくいくという確証を得ることができました。
小学5年生の男の子、仮にA君としましょう。
A君は長らく不登校で、そのフリースクールが勉強する体制に変わっても、
あまり勉強しようとはしませんでした。
そんなある時、同じ小学5年生の不登校の子がそのフリースクールに入りました。
B君です。
最初はお互いに警戒していた2人でしたが、
やがて打ち解けて、仲良しとなりました。
それから面白い現象が起きました。
B君の方はまだ不登校になって日も浅く、A君に比べて勉強によく取り組む子でした。
B君が一生懸命勉強する姿に触発され、いい意味でのライバル意識が出たのか、
A君の方も、嫌がっていた勉強に積極的に取り組むようになりました。
気がつくと、2人ともフリースクールにいる間中ずっと、勉強し続けるようになりました。学校にいるよりも長い時間、勉強するようになったのです。
めきめきと学力を取り戻し、自信と希望を回復させた2人が学校に戻るまでに、
長い時間はかかりませんでした。
そして、その2人の姿を見ていたほかの子も、一生懸命勉強するようになり、
そのフリースクールの復学率は90%をこえるようになりました。
これは理想的な形ですが、転換期に勉強面でいいライバルがいると、
切磋琢磨するようになり、復学が早くなる