UA-139114584-1
top of page

不登校カウンセリングブログその1040.「自分はダメだ、大したことない」という不登校の子へ。人生はRPGのようなもの。最初はヒットポイント1でも大丈夫と思います。

更新日:2022年11月4日

 

 不登校の状況にある子供の多くが、「自分はダメだ」という自己否定感や、「自分は大した ことない」という劣等感を抱いています。不登校の子はもともと、感受性が強い子が多く、そういう子は比較的早い年齢で、自分を見つめる傾向を持ちます。それ自体は悪い傾向ではないと思うのですが、若い時、特に思春期においては、まだ自己確立を始めたばかりですので、得てして自分の足りない部分にばかり意識してしまうことがあります。そういう意識のところで、他人と自分を比較してしまって、「自分はダメだ、自分は大したことない」と自己否定感や劣等感を持ってしまうことがあります。あるいは、そういう意識はなくとも、実際に、他人の方が勉強やスポーツ、人間関係を器用にこなしているのを見て、自分はそんな風に器用にこなせないために、そういう感情を抱くこともあります。



 人生のスタート地点で、自分の能力の低さを知ってしまい、こんな自分ではもう、これから先何もできないと絶望してしまって、その絶望感がさらに、不登校の状況を悪化させてしまって、外の世界に出る気になれなくさせてしまうのでしょう。ある意味、若い時は純粋です。大人になれば、「まあ自分はこんなもの」と、そういう自分を折り合って生きる知恵も出てくるのでしょうが、若い時は純粋ゆえに、そういう折り合いをつけらないこともあるのでしょう。


 ただ、不登校の状況にある子が、そういう自己否定感や劣等感を抱くことに対しては、「ちょっと早いですよ」と申し上げたいのです。人生のまだスタート地点で、自分の能力が低いとみなしてしまって、劣等感や自己否定感を抱き、さらには以降の人生に対して絶望感を持つのは早すぎるのです。


 RPG(ロールプレイングゲーム)という分野のゲームがあります。「ドラゴンクエスト」などがその代表的なゲームになりますが、主人公がゲームの世界の中で、さまざまな経験を積み重ね、武具や魔法などを得て強くなっていき、途中途中で出会う敵を倒してさらに経験値を重ね、最後はラスボスを倒してゴールを迎えるという内容です。


 こうしたRPGではたいてい、主人公のHP(ヒットポイント、あるいはヘルスポイント)は、レベルが最低に設定されています。ゲームによって、HPの設定や意味はいろいろあるようですが、HPは5とか10ぐらいに設定されていて、スライムなどの弱い敵しか倒せず、ちょっと強い敵に出会って負けてしまうと、HP=0となり、死んでしまうような主人公なのです。


 そういうHPが低い主人公でも、ゲームによって方法はさまざまですが、HPを少しずつ高めることはできます。多くの場合、弱い敵を倒すことで少しずつHPを高めることができますし、剣の修行をしたり、武具を購入したり、仲間と出会ったり、魔法の力を得たりして、経験値を高め、それによってHPを高めることができます。そうして勇者や賢者となっていき、やがて強大なラスボスを倒せるまでに成長していくのです。


 人生もまさに、そういうRPGのようなところがあるのではないでしょうか。最初は誰もがHPは最低レベルです。そのレベルは、人によって様々ですが、人生の出発点は最低レベルで、そこから自分の人生を歩んでいき、努力し、経験を重ねることで、誰もがHPを高めることができます。


 学校に通っている間は、勉強することがHPを高める代表的な手段になるでしょう。成績とか学歴を高めるという意味というよりも、勉強することを通して、知識や情報を収集する力や、考える力を高めるという意味です。学歴が無駄とは思わないですし、社会で通用する部分は確かにありますが、むしろ勉強を通して得られる、情報収集能力や思考力の方が、社会に出ていったときに、RPGでいうところの攻撃力になると思うのです。


 スポーツもHPを高めることになるでしょう。体力はいろいろな場で効果を発揮します。しんどい場であっても、体力があれば乗り切れることはありますし、基礎体力が高いことは、努力したり活動したりする際に有利になります。


 人間関係で経験を重ねることも、HPを高めることになります。最初は、経験がないので、自分と合わない人間や、もっと言うと、自分に積極的に攻撃してくる人間と、どう接したらいいか分からず、心を悩ませることもあるでしょう。しかし、経験を重ねるうちに、そういう人間の言動を流したり、忘れたりして、いわゆる「人間関係力」とでもいうべき力を高めることはできます。


 そう考えますと、人生の最初の段階で、他人と比較して、「自分の能力は低い」と劣等感や自己否定感を抱いていても、それはRPGでいうところの、HP10の人が、HP50の人を見て、そういう気持ちを抱いているに過ぎないのでしょう。確かに5倍の差は大きいでしょうが、HP10であっても、それ以降の人生でいくらでも経験を重ね、努力することで、HPを100にも1000にもできます。


 そして、他人との比較ではありません。自分の人生をどう歩むかが大切であって、他人がどういう人生を生きるか他人の問題です。自分と他人を比較することには意味がありません。




閲覧数:5回0件のコメント

Comments


bottom of page