不登校の子供の多くが、「自分の将来には、もう希望がない」と思い込んでしまっています。学校に通っている時期の子供たちが、学校に行けていない、行っていない状況というのは、それほど子供たちに強い失望感や絶望感を与えるものです。子供の中には、「自分は将来、野垂れ死にする」というところまで思いつめている子供もいます。
学校に通っている年齢の子供にとって、学校は家庭に次ぐ居場所です。その居場所がなくなるわけですから、その居場所に行けなくなることに伴う失望感や絶望感は、計り知れないものがあります。
加えて、思春期に差し掛かっている子供は、家庭から外の世界に巣立っていこうという段階にいるということも、そうした失望感や絶望感に拍車をかけてしまいます。
子供が幼い段階では、家庭がほぼ自分の居場所であり自分の世界です。子供が成長するにつれて、家庭から外の世界に巣立っていこうとします。その外の世界が、ほとんどの子供の場合、学校になります。
その学校に行けなくなるということは、自分が広げようとしている居場所が、家庭以外になくなってしまうのです。学校以外の場があればまた違うのでしょうが、日本の現状を見る限り、ほぼ学校が、家庭の次の居場所になっています。それゆえに、思春期に差し掛かったころの子供が、学校に行けなくなるということは、自分の将来に大きな失望感や絶望感をもたらすことになってしまうのです。
不登校の子供が、自分の将来に対して抱いている失望感や絶望感の背景を理解したうえで、ではどういう言葉を子供にかけてあげればいいのか、考えていきたいと思います。
自分の将来に対して失望感や絶望感を抱いているということは、間違いなく「自分はダメだ」という自己否定感を抱いています。自己肯定感を抱いていながら、将来に対してそのような思いを抱くことはあり得ないことでしょう。
よって、子供が抱いている自己否定感を軽くする言葉が必要です。「自己否定感」と言っても、その内容は様々です。その自己否定感の具体的な内容を明らかにする必要があります(自己否定感については不登校ブログ1033を参考になさってください)。そして、その内容に応じた言葉をかけていきます。
自己否定感を軽くする言葉をかけつつ、将来についての言葉をかけていくことになります。「希望のない将来だ」と子供が思っていても、その将来は十分変えることはできます。変えると言っても、子供が思い込んでいるだけで、本当に希望がない将来なのかどうかは分からないのですが、それが現実に起こることだとしても、将来は変えることができます。
これはいたってシンプルな考え方です。努力を続けるかどうか、です。たったそれだけです。あることについて努力を続けていった人は、そのことについての実力をつけることができます。実力をつけることができたら、自分に関係している人に対して、何かを貢献できるようになります。役に立てるようになります。その貢献の度合いが大きいと、役に立つ度合いが大きいと、相手からの感謝も大きくなります。この感謝が、自分の将来を変えるポイントになります。
「豊かになりたい」という願いは、ほとんどの人が持っている願いです。そして、豊かになっている人は、何らかの形で他人に大きく貢献し、感謝されている人です。感謝が形を変えたものが富ということになります。
豊かな富を形成している人は、詐欺とか博打とかでない限り、まず豊かになる前の段階で必ず、他人を楽しませたり、感動させたり、あるいは笑わせたりして、他人に貢献しています。そしてそのための実力を、努力することによって身につけています。
これは何も、有名人になるとか、億万長者になるとか、そういうことだけではありません。一般的な人にも当てはまることです。努力をした人は、それ相応の実力を身につけ、他人に貢献することで、希望のある将来を創っていくことができます。
「そこまで他人に貢献する形でなくてもいい。普通に生きればいい」という方もおられるでしょう。その「普通」という定義は様々なので、普通に生きるということはどういうことか、定義が難しいですが、きちんと経済的に確立し、自分と家族を幸福にできることだと考えたら、やはり社会で働きながら一定の収入を得る必要はあります。そうなりますと、職場で一緒に働く人や、客に対して役に立てる人間になるということが条件ですので、やはりそれだけの実力はいります。そのための努力が必要ということになります。
人生のスタート時点で、ある程度の能力の差は確かにあります。不登校の子の中には、自分の能力が低いと思っているかもしれません。ただ、それであっても、後の努力で実力を身につけることはできます。
努力したら、その幅に差はありますが、実力を身につけることはできます。どの程度の実力かは、努力のやり方、年数、などによって、身につく実力の内容は変わってきます。ただ、今まで以上に実力がつくことは確実です。その実力によって、不登校の状況の中で絶望している不登校の子供も、希望の将来を実現することができます。
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