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不登校カウンセリングブログその1057.不登校の子供が抱いている、「認知の歪み」が、子供自身を苦しめています。

更新日:2022年10月23日

 



 私は、不登校校カウンセリングで「認知行動療法」を取り入れています。この「認知行動療法」では、


 出来事 → 自動思考 → 感情 → 行動


という思考の枠組みを使ってアプローチしています。


 ある出来事が起きると、それに伴って人は、何らかのことをほとんど瞬間的に思考します。これが「自動思考」と呼ばれるものです。この自動思考が何らかの感情を生み、そして行動を生んでいるのです。


 この自動思考は、人によって様々です。同じような出来事が自分の身に起こったとしても、人によって自動思考は異なります。その結果、生じる感情も行動も違ってくるのです。


 例えば、勉強が分からなかったとします。その場合、


 Aさんの自動思考 「よし、分かるまで頑張ろう」

 Bさんの自動思考 「分からない自分に問題がある」

 Cさんの自動思考 「できなくてもいい」


と、それぞれ自動思考が異なると、感情と行動が、


 Aさんの感情と行動 「ぜったいに分かってやる」→「今日は分かるまで勉強するぞ」

 Bさんの感情と行動 「分からない自分はダメだ」→「もう勉強なんてしたくない」

 Cさんの感情と行動 「あきらめよう」→「この部分は勉強しない」あるいは「勉強は自分には合わない」


と違ってきます。「勉強が分からない」という同じ出来事から、自動思考も、そこから生じる感情と行動も、まったく異なってくるのです。


 不登校の事例にも、この認知行動療法の枠組みはある程度、使えます。不登校になる子供は、何らかの出来事から生じる自動思考が、自分を傷つけたり、自信を失ったり、希望を失ったりする傾向になりやすいのです。つまり、「認知の歪み」です。


 いじめられたとか、教師に暴言を吐かれた、などの事例は除きます。親から見て、そんなに学校に行きたくなくさせるようなことは起きていないのに、なぜ学校に行きたくないのだろうかと、分からない事例があります。これは、他の子供にとっては、「学校に行きたくない」という感情や不登校という行動を生じさせる出来事ではないのに、先ほどの「認知の歪み」によって、そういう感情や行動を生じさせているのです。先ほどの例で言うと、「勉強が分からない」という出来事で、「分からない自分に問題がある」という自動思考を持った場合、不登校という行動になる可能性が高くなります。


 不登校の子供は、完璧主義・真面目・感受性が高いという傾向があると言われています。これらは決して問題のある傾向というわけではないのですが、行き過ぎてしまうと、「自動思考」が自分を傷つけたり悲観的になったりして、「学校に行きたくない」という感情を蓄積させて、不登校になってしまうのです。


 そこで、この「認知の歪み」を変えていく必要がありますが、難しいです。なぜなら、認知の歪みを生じさせる「自動思考」は、瞬時に生じてしまうものであり、コントロールが難しいからです。


 そのため、まず子供が抱いている「自動思考」を、子供自身が客観的にとらえるよう導く必要があります。おそらくほとんどの子供が、「自動思考」をしていることを認識していません。そこで、子供が今、どういう自動思考をしているか子供に伝えて、子供自身が「今、自分はこういう自動思考をしている」ということを認識するようにしていく必要があります。


 その次に、自動思考が本当に正しいのか、子供と対話していきます。その自動思考は本当に根拠があるのか、思い込みではないか、ということを気づかせます。


 さらに、これまでとは異なる、新しい自動思考を持つよう、子供に伝えていきます。それまである程度の期間、自分を傷つけるような自動思考をしてきたので、新しい自動思考へと導くのは難しいです。時間もかかります。新しい自動思考が、子供の納得できる内容かどうかも問われます。

 

 ただ、根気強く子供にコミュニケーションをとりながら、その中で新しい自動思考を伝えていくことで、子供の心の中に浸透していきます。

 








 


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