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不登校カウンセリングブログその1060.不登校の理解に活かせる、発達心理学「エリクソンの発達段階説」。

更新日:2022年10月23日


 

 心理学には、「発達心理学」という分野があります。これは、人の生涯において加齢による変化を分析する心理学です。この心理学は、不登校の状況にある子供たちの心の状態を知り、また、どうして不登校になったのかを知る上で有効なため、私もカウンセリングで使っています。


 この発達心理学で代表的なものが、「エリクソンの発達段階説(ライフサイクル論)」です。発達段階説では、人の生涯が8つの段階に分けられ、それぞれの段階において「発達課題」もしくは「心理社会的危機」に直面し、それをクリアしていくことで人間は精神的に成長していくという内容です。下に、8つの段階とそれぞれの発達課題と失敗の状態、その好ましい結果を書き出します。


1 乳幼児期(0ー1歳) 信頼 VS 不信  養育者との関係を通じて周囲への信頼を学び、人間関係の土台をつくる

2 幼児前期(1ー3歳) 自律性 VS 恥・疑惑 身の回りのことを自分でやり通すことから自立性を身につける

3 幼児後期(3ー6歳) 自発性 VS 罪悪感  周囲に対する好奇心から、積極性・社会の役割を身につける

4 児童期(6ー12歳) 勤勉性 VS 劣等感  勤勉な態度によって能力を習得し、周囲の承認を得る喜びを学ぶ

5 青年期(12ー20代) 自我同一性 VS 同一性拡散  自分は何者であるかを確立し、自分の生き方、価値観を形成する

6 成人前期(20代ー40代) 親密性 VS 孤立  アイデンティティを確立したうえでの親密な関係を、友人や異性との間で築く

7 壮年期(40代ー60代) 世代性 VS 停滞性  社会の存続のため、次世代の人間を育成する必要性を認識する

8 老年期(60代ー) 統合性 VS 絶望  自分の人生を受け入れ、円熟した人格を持


 この中で、不登校と特に関係があるのは、青年期です。青年期における「自我同一性」とは、「自分とは何か」ということで、親との関係、先生との関係、友達との関係などを通して、「自分とは何か」を作り上げていきます。それに失敗すると、「自分とは何か」ということがつかめず、「同一性拡散」という状態となり、混乱してしまいます。


 不登校には、その「同一性拡散」の面もあります。勉強する目的が分からずに、そのまま勉強していていいのかと感じ始め、勉強している自分に疑問を感じてしまって、不登校になることがあります。また、友達との関係がうまくいかず、それによって「同一性拡散」に陥って不登校になることもあります。


 不登校は、家庭の中にいた子供が、外の世界である学校へ、さらには社会へと巣立っていく過程で、何らかの原因で起こる現象です。そのように年齢とともに変化していく過程で、子供は何を課題としているか、それに失敗するとどうなるのかということを考える「発達心理学」は、不登校について考え、解決するうえで役に立ちます。








 

 

 

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