前回のブログの続きのような感じになります。平成30年度のデータによると、不登校をスクールカウンセラーや民間のカウンセラーなどの専門機関に相談して、26%しか再登校に至らなかったという事実は、このブログを読んでおられる方に衝撃だと思いますが、不登校カウンセリングをしている私にも衝撃でした。なぜそんなに、不登校から再登校に至る割合が少ないのでしょうか。
私も実際に不登校カウンセリングをしておりますので、その解決の難しさは実感しています。時間がある程度かかることも知っています。しかし、それほど低いのはどうしてなのでしょうか。私個人は、自分のカウンセリングをしていて、もっと高い数値を考えていたので、あまりにもの低い数値に、今も驚きを隠せないのです。
私は自分以外の相談機関が具体的にどういう不登校についてのアドバイスをしているのか、詳しいわけではありませんので、そのような低い数値になる事情がよく分かりません。ただ、他のカウンセラーなどのホームページや、以前は別の相談機関で相談を受けていたというお母様から話を聞いて、何となく感じていることがあります。それは、
不登校の子供が抱えている悩みや苦しみを解消し、自信と希望を持たせるようなことをあまり伝えていない
のではないかということです。
私は、カウンセリングを始める前、そして始めてからもですが、最もカウンセリングで注意し、重視していることが、子供が抱えている悩みや苦しみを解消する言葉や考え方を練り上げることです。このことは今でも研究しています。
不登校の子供が抱えている悩みや苦しみもさまざまですが、大きなものを挙げますと、
自分はダメだという自己否定感
将来に希望はないという絶望感
勉強に意味なんてないという虚無感
です。これらは、大人でも小さくしてあげるのが難しい悩みや苦しみでしょう。これらは、突き詰めてしまうと、
人間とは何か
生きる目的とは何か
というところまで行きつくのではないでしょうか。
私は、これらについてさまざまな人生観や、成功者の自伝などを調べて、できるだけ子供の心に届く言葉と考え方にしたいと考えています。困難な状況になっても、そこから脱出していった人の話などは、参考になります。それをそのまま、すべての人に当てはめることはできませんが、子供の状況によって部分的に変えていけば、伝え方に注意して伝えることで、子供の悩みや苦しみを小さくしてあげることはできます。
例えば、「勉強なんてどういう意味があるの?やっても意味がないじゃないか」と考えている不登校の子供に対して、勉強は魔法のような力があることを伝えます。
現代では、勉強することで高い学歴を身につけ、それによって世の中を有利にわたっていける、というふうに考えることが多いかもしれません。そのような勉強の効果を、私は否定しませんが、それだけではなく、もっと大切な意味があると考えています。それが、魔法のような力です。
魔法のような力とは、自分を変えていく力です。あることについて勉強すれば、そのことについてのエキスパートになれます。歴史のことを学べば、歴史のエキスパートになれます。医学のことを学べば、医学のエキスパートになれます。
それによって食べていけるかどうかは分かりませんが、少なくとも、その分野に詳しい人間にはなれます。そうなれば、その分野の知識によって物事を考えていく力が備わってきます。
たとえ、全般に広く勉強し、特に何かの分野に特化しなくとも、情報を収集する力と、それによって考える力は身につきます。その力は、社会に出て、さまざまな岐路に立たされた場合、窮地に陥った場合、あるいは道なき道を進んでいくような場合、非常に役に立ちます。
そういう、学歴だけではない、もっと本質的な効果を伝えることで、「勉強なんて意味がない」と思い込んでしまっている子供の心を、変えることはできます。
さまざまな深い悩みや苦しみを抱えている子供に、それらを軽くする言葉を伝えてこそ、不登校の解決が見えてくると思うのです。
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