UA-139114584-1
top of page

不登校カウンセリングブログその1092.感受性が高いなどの理由で、人間関係によって不登校になっている子。その個性を賞賛しつつ、同時に、人間関係で磨かれることも伝えたいです。

更新日:2022年10月22日


 古代中国の歴史には、さほど詳しくはないのですが、とても面白いです。今は、秦の始皇帝とその将軍李信が、分裂した中国を統一しようと戦う姿を描いた漫画「キングダム」が人気ですが、その時代も面白いですし、秦が崩壊して群雄割拠し、やがて項羽と劉邦の戦いとなり、負け続けの劉邦が勝って漢帝国を築いた時代も面白いです。その漢帝国もやがて崩壊し、魏・呉・蜀の三国に分裂した三国志の時代もまた、面白いです。


 歴史の面白さとは、人間関係の面白さ、人間ドラマの面白さではないでしょうか。国と国、組織と組織の間も、結局は人間関係です。


 例えば、項羽と劉邦の戦いです。項羽は戦が極めて強く、向かうところ敵なし、という感じの人間でした。今でいえば、ボスタイプの人間なのでしょう。一方、劉邦は、個人ではさほど戦いは強くなく、実際、項羽に何度も負けています。負けるたびに劉邦は逃げ、それでまた人が集まってきて再起します。劉邦は、人間的な魅力があったのでしょう。蕭何(しょうか)、張良、韓信の三傑を部下として、それぞれ適材適所の形で使って項羽を次第に追い詰め、最後の戦いで勝利して、劉邦は漢の初代皇帝となりました。


 劉邦が項羽より優れていたのは、人材を見抜き、その人材から信頼を受けて人材を活かしていく、いわば「人間力」の部分でしょう。どのようにして劉邦が、人間力を磨いていったのか、詳しくは分かりませんが、それまでの人生の中で培われたものなのでしょう。さまざまな人間と出会い、その出会いの中での出来事を通して、自分を磨いていったのでしょう。


 では、項羽は人間関係の中で学んでこなかったのか、というと、劉邦ほどではなかったと推測しています。おそらく項羽は、戦いに強いところから考えると、巨大な体で、気も強く、そのような項羽を目の前にすると、人は萎縮してしまいがちです。劉邦ほど、人間関係の中での学びは、少なかったのではないでしょうか。


 「人間力」といっても、本当にさまざまなものがあります。他人から見て魅力的であり、人をひきつける「人間力」、それは他人のために尽くす「愛」、他人の悲しみを慈しむ「慈悲」、集まってきた人々に対して素晴らしい未来を示し、その方向にリードする「指導力」などがあります。今回のブログでは、その中で「包容力」と「忍耐力」を取り上げたいと思います。人間はさまざまです。一人として同じ人はいません。自分とは合わない人もいるでしょう。さまざまな人とうまく付き合っていくには、「包容力」が必要です。


 同時に、相手は自分の思い通りにはなりません。自分の心は自分のものであり、自分の王国であるのと同じように、相手にとっても相手の心は、相手のものだからです。相手の心を自分の自由にはできないのです。そのため、「こうしてほしいのに!」「こんなこと、してほしくないのに!」と思っていても、相手はその通りになりません。そこで忍耐力が必要となります。


 こうした包容力や忍耐力は、すぐに得られるものではありません。現実の人間関係の中で、悩んだり苦しんだりしながら、得ていくものなのでしょう。


 不登校になっている子供たちの多くが、他人の心に敏感で、その言動に影響を受けやすいです。いわゆる「感受性」が高いのです。感受性が高いという、その個性自体は素晴らしいです。人の心が分かり、その心に配慮するという個性そのものは、素晴らしいものであると思います。その点は認めつつも、同時に、さまざまな人間関係で得られる人間力があることも、そうした子供たちには知っていただきたいと思うのです。


 あまりにひどい人間関係は、もちろん論外です。いじめや暴力、恐喝などはもう犯罪の域ですので、そういう人間関係で苦しんでいる場合は、しかるべく対処すべきです。また、鬱などになってしまう人間関係でしたら、逃げた方がいいのかもしれません。


 しかし、それ以外の人間関係で、耐えられそうなレベルでしたら、「これも人間力を磨く、砥石なんだ」ととらえて、しばらく頑張ってみるという考え方もまた、時には必要なのかもしれないと思うのです。他人からの言動をどう受け止めるかは、受け止める当人次第です。もちろん、先ほどのようにひどい言動は押しとどめる必要がありますが、そうした言動を除外して、言動を発した本人が特に悪意がないような場合、その言動をすぐに流してしまうか、数日心に残すのか、それとも岩に刻み込むようにずっと残しておくのか、受け止める当人に任されています。言動を発した人に悪気がなくて、受けた側がずっと心に刻んでてしまうのは、損な感じがします。そういう人は忘れてしまっているので、こちらもできたら流してしまって、忘れてしまう方がいいでしょう。


 そういう風に接していくと、それもまた「忍耐力」や「包容力」につながっていくと思うのです。自分とは合わない人間との接触の方が、実は人間力は鍛えられる面があります。






 



閲覧数:25回0件のコメント

Comments


bottom of page