たびたびブログで書いてきましたが、不登校になった大部分の子供たちは、自己肯定感が低くなっています。不登校に至るまでに起きた出来事によって、あるいは不登校になったという事実によって、「自分はダメだ」と思っていて、自信を失っています。
自己否定感を消していき、自己肯定感を高めていくことで、人生を力強く歩み、幸福になれる可能性が高くなります。そして、自己否定感を消していくためには、小さい成功体験をコツコツと積んでいくことです。友達といい関係を築けた、勉強したら成績が上がった、アルバイトでお金を稼げた、外で出られたということでも、成功体験です。今の自分にできることから手掛けて、成功体験を積んでいけば、自己肯定感は高まっていきます。
ただ、不登校の状況から、一歩を踏み出すための最初の自己肯定感を得るのが、なかなか難しいです。成功体験を積んで自己肯定感を高めるには、一歩、歩かなくてはならない、しかし、その一歩を進めるには、自己否定感が強くてなかなかできない、という矛盾した状態にあることがあります。そんな状態では、子供たちは「進みたいのに進めない」という焦燥感にかられてしまいます。
そこで、自己肯定感を高める第一歩は、そばにいる親御さんによるわが子へのコミュニケーションとなります。親御さんのコミュニケーションによって、不登校の子の自己肯定感を高めることができれば、先ほどのような矛盾した状態を避けることができます。親御さんから子供とのコミュニケーションの中で、子供の自己肯定感が高まるような働き掛けを行うことで、子供は外に向けて一歩を進める必要はなくなります。
そのコミュニケーションの具体的な内容ですが、子供の個性や置かれた状況によってさまざまでしょう。ただ、多くの子供に共通する内容もあります。それは、「不登校の状況を受け入れること」と、「子供の苦しみや辛さに共感すること」です。
「不登校の状況を受け入れること」とは、不登校がサボりや怠けではなく、不登校になったのは正当な理由があるはずだととらえること、不登校になった状態は疲れた心身をいやすのに必要だと理解すること、不登校になったわが子は、他の学校に通っている子に比べて劣っているわけでも何でもないと認識することです。このように「不登校の状況を受け入れること」で、子供たちは「自分はダメなわけじゃないんだ」と考えやすくなります。
これとは逆のことを、親がしたらどうでしょうか。不登校になったのはサボりや怠けだと考え、不登校の状態は子供にとって必要ではなく時間の浪費でしかないこと、学校に行けないわが子は劣っていることと考えていたら、子供の自己否定感はますます強くなるでしょう。
また、「子供の苦しみや辛さに共感すること」でも、子供の自己否定感は小さくなり、自己肯定感は高まります。「理解してもらえた」と思うと、問題や状況が根本的に解決していなくとも、前に進んだような思いになり、自己肯定感を高める可能性が出てきます。不登校の子供の多くが、自分は外の世界にいる人々から理解されていないという思いを抱いています。それが自己否定感につながっていますから、「理解してもらえた」と感じることで、自己否定感が小さくなり、自己肯定感が高まるのです。
不登校のわが子が自己肯定感を高めるために、親ができることはあります。自己肯定感を高める第一歩は、小さな一歩に過ぎないかもしれませんが、成功体験を積み重ねてさらに自己肯定感を高める上で、大きな一歩となります。
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