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不登校カウンセリングブログその1111. 「たった一言で不登校を解決できます」というカウンセラーにご注意ください。

更新日:2022年10月22日




「たった一言で不登校を解決できます」。


 そういう宣伝文句を見たことはないでしょうか。不登校カウンセラーのホームページで、たまに見かけます。私も、不登校カウンセラーの端くれとして申し上げたいのは、たった一言で不登校を解決できるなら、なかなか不登校が減らないのはなぜか、どうして増えているのか、ということです。一言で不登校を解決することなど不可能です。そのような宣伝文句に、だまされないでいただきたいと思います。


 そもそも、不登校を解決するためには、子供たちが心の中で抱えているさまざまな思いを、解消していく必要があります。それは、「自分はダメだ」という自己否定感、「これから先、自分は幸福になれない」という絶望感、多くの人間の中にいたくないという思い、「いったい何のために勉強するのだろうか」という疑問などの思いです。 


 不登校の状況にある子供たちの心は複雑です。いろいろなことで悩んだり、疑問を持ったりしています。また、子供によって悩んでいることも、疑問も異なります。それをたった一言で、その心を変えることは不可能です。


 例えば、ひどいいじめで不登校になっている子供、いじめではないけれども人間関係で悩んで不登校になっている子供、勉強することの意味が分からず不登校になっている子供に対して、何か一言で不登校の状況から脱出させることができるでしょうか。悩んでいる内容が違えば、かけるべき言葉も変わってくるはずです。


 また、子供の心の状態も変化していきます。不登校は一般的に、「混乱期」→「安定期」→「転換期」→「回復期」というプロセスで変化していきますが、それぞれのプロセスにおける子供の心の状態は異なります。ですので、混乱期において子供にかける言葉と、「回復期」において子供にかける言葉は違うのです。


 混乱期においては、多くの子供たちは傷ついていますので、癒しやなぐさめの言葉が中心となります。一方、回復期においては、外の世界に出ていきたいと願いつつ、やはり自信がなくプレッシャーを感じているので、そうしたプレッシャーを軽くする言葉が中心となるでしょう。


 私などは、カウンセリングでお母様に、お子様にかけてあげるべき言葉をアドバイスする時、ものすごく考えます。どういう言葉がいいか、あるいは、同じことを子供たちに伝えようとしても、言葉を変えるべきか、いろいろ考えます。できるだけ何種類もの言葉を用意して、お母様にアドバイスいたします。お母様にとっても、少ない言葉で何度も同じことを子供に伝えるよりも、言葉の表現を変えて子供に伝える方がいいでしょう。


 以上のように、不登校や引きこもりを解決するには、さまざまな言葉が必要です。「たった一言で不登校を解決する」という宣伝文句をうたっているカウンセラーは、不登校や引きこもりのことをよく知らないカウンセラーだと、言わざるを得ません。


 「不登校ビジネス」という言葉があります。これは、不登校で困っている方につけこんで、役に立たないものを売りつけて、利益を得ようとする人間を揶揄(やゆ)する言葉です。こういう言葉があるということは、不登校カウンセリングをしている私は残念に思いますが。ただ、「たった一言で不登校を解決する」というような宣伝文句をうたっているようなところは、「不登校ビジネス」などと表現されても仕方がないと思います。


 






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