不登校の状況についての調査や研究が進められています。書店に行けば、「こういうふうに対応すればいい」というモデルはありますが、実際は不登校の人数はなかなか減っていきません。その要因の一つに、そのようなモデルはあるけれども、不登校の状況は本当に様々で千差万別であり、モデルを自分の子供に100%適用できるわけではない、ということがあると考えています。
不登校の状況は一般的に、不登校直後の、親も子も混乱している「混乱期」→親が不登校の状況を受け入れ、表向きは安定する「安定期」→子供の元気が出てきて、外の世界に関心を持ち始める「転換期」→学校に戻る「回復期」という形をとるとされています。そして、それぞれの段階において、どういうふうに子供に接したらいいかということが、不登校の関連する本には書かれています。
それは、ある程度の参考にはなります。「今は、たぶん、こういう段階であり、子供はこのような心の状態であるから、こういうふうに接したらいい」ということの参考にはなります。
例えば、「混乱期」においては、子供の心は揺れ動いていて、またエネルギー切れを起こしているので、「学校に行ったらどうか」と登校刺激することはせずに、そっと見守っておいた方がいい、というようなことです。
ただ、そのように一般化された、接し方のパターンが、すべての子供に100%適用できるわけではありません。
まず、子供の個性が全く違います。元気のある子、大人しい子、勉強が好きな子、勉強が嫌いな子、たくさんの友達がいる子、少数の友達で満足する子、等々、一人として同じ個性の子供はいません。そこでまず、接し方が異なってきます。Aという子に良かった接し方が、Bという子に対してうまくいく保証は待ったくないのです。
また、不登校に至るまでの状況も異なります。不登校に至るまで、いじめのように非常に傷ついた状況もあれば、どうして不登校になったのか、親から見ていても分からないような状況もあります。それだけ状況が違ってきたら、接し方も違ってくるでしょう。
親子関係もまた同様です。にぎやかな親子関係もあるでしょう。お互いにあまり深くかかわらないけれども信頼関係が強いというような親子関係もあるでしょう。友達のような親子関係もあれば、上下関係がはっきりとした親子関係もあります。それらの関係の中で、接し方もまた、異なってきます。
子供の悩んでいることや苦しんでいることもまた、子供によって違います。勉強で悩んでいる子、友達関係で悩んでいる子、先生との関係で悩んでいる子、漠然とした悩みの子、それぞれです。
私も、ある程度のご家族に対してカウンセリングをしてきましたが、まったく同じということはありませんでした。似ているケースだと思うことはありましたが、それでもどこかやはり違っているのです。
ですので、不登校においての接し方のモデルは知りつつも、それを自分の子供に行う場合は、親御さんが「微調整」して接することになります。それが実は、不登校の対応において難しいところだと思います。自分の子供のことを一番知っているのは、やはり親御さんです。その親御さんが、不登校での接し方のモデルを調整していく方が、確実性は高いです。
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