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不登校カウンセリングブログその1181.人間関係において、自己否定感を抱いている不登校の子供に、何を伝えればいいのでしょうか。

更新日:2022年10月21日


 人間関係で悩み、自己否定感を抱いている不登校の子は、結構多いのではないでしょうか。その自己否定感を軽くするために、何を伝えてあげればいいのでしょうか。


 人間関係での悩みと言っても、それはさまざまな形がありますので、伝えるべきことも様々な内容になります。人間関係で悩んでいる、すべての不登校の子供に共通して伝えたいことは、「人間関係での悩みは、おそらく一生を通して続くものである」ということであり、「人間関係でどのように悩むかが、その人の成長性の証でもある」ということ、そして、「人間関係の悩みは、多くの場合、成長のきっかけになる」ということです。このことを伝えても、すぐには理解したり、納得したりしないかもしれません。ただ、後にどこかで思い出し、「ああ、そういうことだったのか」と納得してくれればうれしいです。


 さて、人間関係で悩むのは、子供だけではありません。大人も悩んでいることがあります。どうして人間関係で悩むのでしょうか。それは、人間の個性は、あらゆる動物の中で最もバラエティに富んでいて、個性の差が大きいからです。


 例えば、猫を挙げてみましょう。猫にも個性の差はある程度見られますが、それほど大きくはありません。人なつっこい猫、警戒心の強い猫という違いは、多少あるものの、個性にそれほど差があるように思えません。他の動物も同様です。


 人間の個性の違いは、すべての動物の中で際立っています。だからこそ、人間同士のぶつかり合いが起こりやすく、悩みの種になりやすいのでしょう。人は、まったく孤独に生きることは難しいです。時々、山奥に一人で住んでいる人が、テレビで紹介されることがありますが、一般的には誰かと関わりながら生きていくことになります。そのため、時々、人間関係の悩みが起こり、その悩みの中で生きていくことになるのではないでしょうか。


 そのように悩むことは、普通は苦しみのもとです。いいことはないと考えられるでしょう。ただ、それが人間の成長のきっかけとなることもあるのです。


 今回は、いじめの例は除外しています。いじめは犯罪であり、そういう人間関係はない方がいいですので、いじめが成長のきっかけになるとは考えていません(成長のきっかけにしている人もいますが)。


 それ以外での、人間関係の悩みが成長のきっかけになるとはどういうことでしょうか。人間関係で悩む場合は、大きく二つが考えられます。一つが、相手と自分の価値観が異なる場合、もう一つが、これは失礼な表現になりますが、相手の人間性や精神性が、自分よりも未熟な場合です。


 相手と自分の価値観が異なる場合は、例えば、アラブ人と付き合う状況を仮定するとさらに分かりやすくなるでしょう。アラブ人と日本人とは、価値観が大きく異なるでしょう。付き合う場合、価値観の違いからお互いにいろいろと悩むことになるはずです。


 そうして悩むことによって、自分とは異なる価値観について知り、考えることになります。日本人からアラブ人を見て、「ああ、こういう価値観もあるのか」という驚きがあるでしょうし、その逆もまた然りです。


 異なる価値観と出会ったことによる悩みは、すなわち自分にはない価値観について知ること、考えることでもあります。それは価値観の幅を広げることになります。別の言葉で言えば、「多様性」と「寛容さ」を身につける、ということになるでしょうか。そういう形での、精神的な成長がありうると思うのです。



 相手の人間性や精神性が、自分よりも未熟な場合、その人間関係は、相手から攻撃されるような形をとります。いじめも、その極端な関係として含まれるでしょう。相手に問題や原因がないのに、その相手を攻撃するような人というのは、残念ながら攻撃される側よりも、人間性や精神性は低いということになります。人間性や精神性がより高い方が、低い人を理由なく攻撃するということはあり得ません。叱ったり、注意したりということはあるでしょうが、それにはちゃんと理由があることです。理由なく攻撃すること自体、人間性や精神性が低いということになります。


 そのようなことによる悩みは、「許し」という形での、精神的な成長のきっかけとなることがあります。相手は自分を攻撃してくれば、多くの場合、感情的になります。相手を許しがたく思います。


 ただ、そういう感情を乗り越えて、「相手を許そう」というふうに考えられることは、精神的には非常に大きな成長です。自分に害をなす人を許すということは、憎しみなどの感情を乗り越えるということであり、それは普通はできないことです。普通はできないことができるようになるということですから、それは精神的な成長と考えられます。


 相手から攻撃されて人間関係で悩み、それによって不登校になっている子供に、「許してあげなさい」ということは極めて困難です。大人であっても、許しができるほどの人は少ないです。ただでさえ感情的になりやすい段階の子供に、「許してあげなさい」ということを伝えるのは、酷なことです。


 ただ、「許し」ということもありえて、それが将来できるようになれば、精神的な成長を達成することになることぐらいは、伝えてあげてもいいかもしれません。その結果、人間関係の悩みをすぐには解消できなくとも、目指すべき方向を示すことはできるかもしれません。







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