不登校カウンセリングブログその1214.完璧主義によって不登校になった子供。完璧主義にも「適応的完璧主義」と「不適応的完璧主義」があり、「適応的完璧主義」を目指すのも、完璧主義を修正する一つ
- 不登校・引きこもりカウンセリング「エンゼルアカデミー」
- 2022年8月23日
- 読了時間: 4分
更新日:2022年10月21日
完璧主義については、たびたびブログで取り上げてきました。子供が完璧主義であるため、勉強も部活も生徒会活動や人間関係も手を抜くことなく全力疾走し、エネルギーが切れてしまって、不登校になることがあるのです。

この完璧主義には、大きく二つのパターンがあることが、先行研究から明らかにされています。それは、
1 適応的完璧主義
2 不適応的完璧主義
です。
「1 適応的完璧主義」は、よい完璧主義とされています。このタイプの完璧主義では、ほどほどに高い目標を設定しますが、その目標を実現するためには無茶な努力はしません。そして、たとえ目標が達成されなくとも、その結果を柔軟に受け入れて、またチャレンジしようという姿勢になることができます。また、他人からの評価を気にしすぎず、積極的に行動できるというメリットもあります。
一方の、「2 不適応的完璧主義」が、問題となる完璧主義です。適応的完璧主義と異なり、高すぎる目標を設定してしまいます。そのため、無茶な努力をしてしまって、息切れしてしまうようなことがあるのです。また、他者からの評価に敏感で、失敗を常に恐れてしまうところがあり、自己批判的な姿勢をとることがあります。
完璧主義なために不登校になってしまうということは、その完璧主義のタイプは、不適応的完璧主義である可能性が高いです。
では、子供が、こういう不適応的完璧主義になっている場合、どうしたらいいのでしょうか。
このような子供に、いきなり「適当にやんなさい」と伝えても、子供の心に浸透していかないでしょう。今の子供の心と、伝えている内容との差がありすぎるからです。
そこで、不適応的完璧主義への処方の一つとしては、「適応的完璧主義」に変わるよう、働きかけることが挙げられます。先の適応的完璧主義になれば、それ以降、完璧主義によって不登校になることは避けられます。また、しっかり努力して成果を出したいという姿勢が、大きく変わるわけではないので、適当な人間になるよりも、子供は受け入れやすいでしょう。
では、不適応的完璧主義の子供に、どのように働きかければ適応的完璧主義になるのでしょうか。そのことについて書いていきます。
①失敗から得られるものがあることを伝える
適応的完璧主義は、失敗を受け入れる余裕があります。その余裕を子供に持たせるには、失敗からも得られることがあるということを、子供に伝えてあげてください。
失敗からも得られることがあるということは、人生の真理です。これは断言します。できれば失敗はしたくありません。誰でもそうです。
しかし、失敗したからこそ、自分に足りないものや修正すべきことが分かります。そこに、今後の努力する方向があり、努力することによって成長できるのです。
②結果主義ではなく、努力したことに価値があることを伝える
不適応的完璧主義は、成功した結果しか受け入れることができません。それはすなわち、努力というプロセスには価値を見出していないのです。
大切なのは努力することであり、結果がどうなるかはあまり考えないという姿勢であれば、たとえ結果が十分に出なくとも、努力した自分を認め、受け入れることができるようになります。
③失敗しても認める
失敗した子供を、親が認めてあげれば、子供に精神的な余裕が出てきます。失敗しても親は認めてくれるのだと安心し、子供も自分自身を受け入れることができます。
これはすなわち、不登校になっている状況を、親が認めることができるかどうか、ということにもなるでしょう。どうでしょうか。不登校になっている状況を、受け入れることができるでしょうか。
④加点方式で考えるよう伝える
不適応的完璧主義では、減点方式で考えているはずです。自分にはこれがない、これが足りないと、引き算で考えてしまうのです。
そこで、適応的完璧主義になるためには、そのまったく逆の、加点方式で考えるようにします。自分にはこれがある、こういうこともできると認める姿勢になれば、心に余裕が出てきます。
⑤世の中は不完全であり、その中を不完全な人間が生きていることを伝える
子供が思春期になっていき、世の中に対する視点を持ち始めているのですから、世の中は不完全であり、その世の中を不完全な人間が生きていることを、伝えてあげてください。
残念ながら、完璧な人間はどこにも存在しません。もしかしたら、いるのかもしれませんが、圧倒的多数の人間はどこか不完全です。であれば、自分もまた、不完全な人間でしょう。
不完全な人間同士なので、ぶつかることもありますが、だからこそ、相手を受け入れ、その不完全さを許すことができるとも、考えることができます。
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