不登校ブログ1213「不登校は社会の問題から起きているという考え方」では、「不登校は社会の問題から起きている」ということを書きました。そうであれば、不登校の状況を変えるにはどうすればいいのでしょうか。
まず、社会全体としての不登校の状況を変えるには、社会を変えて、社会の問題を解消する必要があります。実のところ、不登校を根本的になくすには、社会を変えていく必要があり、不登校という状況が認識されていながら、なかなか減らすことができないのはここに理由があります。
不登校を引き起こす「社会の問題」とは、「他人の自己肯定感を低くする言動が多い風潮」と、「希望を見出しにくい状況」でした。それらを解消するということが、不登校を根本からなくす方法です。
しかし、これは時間がかかります。前者を実現するには、道徳などのカリキュラムを充実させることが必要ですし、後者を実現するには、日本経済を立て直すことが必要で、どちらも教育の問題だけではなく、政治の問題となります。自分の子供が不登校の状況にあって、「社会を変えなければ、不登校の状況を変えることはできない」と聞かされるとすれば、親御さんにとっては絶望的な話でしょう。
そこで、あくまでも対処療法ではありますが、不登校の状況を変えるもう一つの方法として、不登校の状況にある子供に、「自己肯定感を高め、それを守っていくこと」と、「今の社会の中で希望を見出すこと」を伝えていくということがあります。
今の社会が、他人の自己肯定感を低める言動の多い状況でしたら、その中で自己肯定感を高めて、守っていくのです。その場合、人が、自分という存在をどうとらえるかがカギとなります。私は、すべての人には、「ダイヤモンドの原石」が存在していると考えています。それはすなわち、「心」です。心は目に見えませんので、普通に生きていてその存在を意識することはあまりありません。ただ、その心の状態がいかなるものであるかで、その人の存在を決め、その人の周りの環境を決め、そして人生を決めていく、とても大切なものです。
心が素晴らしい状態、例えば、誠実であったり、優しさであったり、勤勉であったりしたら、その心の持ち主は素晴らしい人になります。そして、その心の状態に応じた人間関係となって、それを土台にした人生が展開していくでしょう。
そして、心の特徴には、「自分で心の状態を決めることができる」ということがあります。自分で自分の心をコントロールできるのです。
確かに、他人や周囲の環境から影響を受けます。もし自分の周囲で、自分の自己肯定感を低くするような言動が飛び交っていたら、その影響を受けることはあります。
ただ、影響は受けつつも、最終的に自分の心の状態を決めるのは、自分次第です。まともに影響を受けてしまうか、自分の心の状態は自分で決めることができると考えて、そうした影響を跳ね除けるかは、自分次第です。
さらに、「今の社会の中で希望を見出すこと」についてです。今の社会は、希望は見出しにくいですが、そのために全く希望を見出すことができない、というわけではありません。今の社会の中で、「自分はどう生きたいか」「何をしたいか」という「志」を持つことで、それが希望となっていきます。
人は、社会の中で生きている以上、社会からの影響は受けます。今の社会が、希望を見出すことが難しい状況でしたら、その影響は受けます。ただ、こういうふうにに生きていこう!という志は、積極的に人生を切り開いていく力にもなりますので、社会からの影響を受ける、「受け身的」な姿勢とは異なり、社会がどのような状況であろうとも、そこに希望を見出そうとする「能動的」あるいは「積極的」な姿勢となります。志があり、それを実現したいと熱望している人にとっては、社会の状況など無視して、「やりたいことをやるんだ」という思いを持つことになります。
これら二つのことを伝えるのは、簡単なことではないかもしれません。不登校の状況にある子供が、すぐに受け入れてくれることにはならないでしょう。それでも、コミュニケーションの中で少しずつ伝えていくことが、不登校の状況から脱出し、人生を積極的に生きていく手助けになると思うのです。
Comments