「勉強」という言葉を聞くと、どのような印象を受けるでしょうか。「つまらない」とか「苦痛」とか、あるいは「苦手」という印象を受ける人が多いのではないでしょうか。
そういう面は確かにありますが、「勉強」の効用は本当に大きくて、魔法のような力があります。不登校がきっかけになって、自己肯定感を失っている場合は、元気が出てきたら「勉強」することによって、自己肯定感を取り戻すのも、一つの方法だと思うのです。
「勉強の効用」と聞くと、「いい成績をとって、高い学歴を得る」というふうに、一般的には考えるでしょう。私も、そのことに反対するわけではありません。学歴社会においては、そういう効用は確かにあります。高い学歴を得る方が、社会で有利な点があることは間違いありません。
ただ、「勉強の効用」はそれだけではありません。人を見下すなどのことをしなければ、勉強することによって輝きが出てくるのです。勉強を一生懸命してきた人特有の輝きが出てくるのです。
最近、司馬遼太郎の小説「竜馬がゆく」を読みました。その小説の中では、主人公の坂本龍馬以外にも、数多くの志士たちが登場します。新しい日本にしようと、文字通り命がけで活動していた志士たちが、なぜ、明治維新を成し遂げることができたかというと、彼らは剣術や勉学によって自分を鍛え上げてきたからだと思うのです。
志士たちを輩出した江戸の道場に、鏡新明智流の士学館、北辰一刀流の玄武館、神道無念流の練兵館があります。江戸の三台道場と呼ばれ、桂小五郎や伊藤博文は練兵館、坂本龍馬は玄武館の分道場、武市半平太は士学館で修行しました。そこで剣術や学問を学び、志士たちは明治維新を成し遂げたのですが、それらの道場で精神を鍛え、知力や思考力を高めていったからでしょう。
現代はサムライの世ではありませんので、剣術には当時ほどの効力はないでしょう。しかし、学ぶことには今でも大きな効果があります。高度で複雑な知識社会では、知識を豊富に持ち、人の役に立つように体系化させた人は、沢山の人の役に立つことができます。勉強する過程では考える力も高めることになりますので、そのような力も、その人の輝きになるでしょう。
不登校の状況の中で、「自分はダメだ」と自己肯定感を失っているのでしたら、勉強していくことが、失った自己肯定感を取り戻す王道でしょう。勉強して、すぐに輝きを増していくわけではありません。何年かはかかるでしょう。しかし、続けていけば必ず、他の人とは違う、努力していった人特有の輝きを放つようになり、自己肯定感を高めることができます。
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