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不登校カウンセリングブログその1235.不登校の「苦しい今」はすぐには変えられません。でも、「苦しい今」の過ごし方によって、「明るい未来」にすることはできます。

更新日:2022年10月17日



 今が苦しい人に、何を言えばいいのでしょうか。


 今の状況において、苦しみを感じていない人、いわゆる幸福な状況にある人が、「今が苦しい」人に対して言葉をかける場合、「今は苦しくとも、未来はきっと良くなるよ、明るくなるよ」という言葉をかけるのではないでしょうか。言葉をかけている側に、本当に心からそう思い、あるいはそう願っていても、言葉を受け取る側の心にその言葉が伝わるかどうかは分かりません。


 伝わるどころか、「この人に話しても分かってくれない」というあきらめにも似た気持ちにさせてしまうことさえあります。それは、今が苦しい人は、「未来のことではない。苦しい今をどうにかしてほしい」と心から願っていて、「未来は明るいよ」というふうに言葉をかけられても、慰めにならないからです。


 不登校という状況にも当てはまることだと思いますが、「苦しい今」はすぐには変わりません。「楽しい今」はすぐに変わることがあるのに、「苦しい今」はなかなか変わらないのです。不登校であれば、その状況が変わるのに数カ月、あるいは数年くらいはかかります。不登校の状況にある子供や親御さんが「苦しい今をどうにかしてほしいという願いは、残念ながらほとんどの場合、かないません。


 では、そういう状況にある人には、何も言葉をかけられないのでしょうか。何も言葉をかけられず、ただ見ていることだけしかできないのでしょうか。


 先ほどと矛盾するようですが、やはり「未来は明るい」という言葉をかけるのが、ベターではないかと思うのです。ベスト(最善)ではありません。ベターです。


 ただ単に、「未来は明るい」と言葉をかけるのではなく、不登校の状況にある人が、本当は苦しい今を何とかしてほしいと願っていること、その願いをすぐにかなえることはできないことをきちんと共感し、理解した上で言葉をかける必要があります。また、「苦しい今の過ごし方で、未来を明るくすることができる」と、より現実に即した言葉をかける必要があります。


 冒頭で述べましたが、言葉をかける側とかけられる側には、置かれた状況や心の状態に大きな差があります。言葉をかける側は、おそらくその問題で悩んでいないでしょうし、比較的幸福な状況にあるでしょう。心にも余裕がありますので、未来についてじっくり考えることができます。その一方で、言葉をかけられる側は、直面している問題で夜も眠れないほど悩んでいるでしょうし、未来について考えるだけの心の余裕がありません。言葉をかける側が、その差についてきちんと理解しておけば、言葉をかける時、「この言葉は本当に相手の心に入っていくだろうか」という視点で、言葉を吟味することができます。また、言葉をかけられる側に、「ああ、この人はこちら側の立場や気持ちを理解してくれている」ということが伝わります。


 また、「未来は明るい」という言葉だけでは、「苦しい今をどうすればいいの?」という反発を招きますが、「苦しい今の過ごし方で、未来を明るくすることができる」という言葉であれば、苦しい今をすぐに変えることはできないものの、今をどうすればいいかということへの、不完全ながらも答えになります。


 繰り返しになりますが、不登校のような状況は、すぐには変わりません。ただ、時間がかかりますが、少しずつ変えていくことはできます。そして、変えることができるかどうかは、「苦しい今」をどう過ごすかにかかっています。






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