不登校カウンセリングブログその1303.「今のままのあなたでいい」「努力が必要」。相矛盾する言葉が、不登校の子供には必要です。
- 不登校・引きこもりカウンセリング「エンゼルアカデミー」
- 2022年11月22日
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時代にはいろいろな流れがあります。その流れの一つに、「このままでいい」という「現状維持」と「もっと高みを目指す」という「向上」という流れがあります。平成から令和にかけては、どちらかというと「このままでいい」という流れが強く、それ以前の昭和などは「もっと高みを目指す」という流れが強かったのではないでしょうか。
昭和の時代は、戦争や恐慌などもありましたが、基本的には右肩上がりの時代であり、明日は今日よりもいいということを信じることができていました。そのため、努力していけば結果は出る、だからもっと高みを目指すべく、努力していこうという風潮が強かったように感じます。
しかし、昭和が終わり、平成の時代になると、それまでの右肩上がりの時代はストップし、経済成長もほぼ止まりました。そのような時代は、努力してもなかなか結果が出にくくなり、「このままでいい」という「現状維持」の風潮が強くなるのは当然かもしれません。
「現状維持」と「向上」ということを、個人に当てはめると、「今のままのあなたでいい」ということと「努力が必要」ということになるでしょう。これら相矛盾する考え方は、どちらが正しいというようなものではなく、両方必要だと思うのです。
子供が傷ついていたり、逆境にいたりする時は、「今のままのあなたでいい」という考え方が、子供には必要かもしれません。そういう時は、努力する気になれません。自分自身に対する自信も失ってしまっています。「今のままのあなたでいい」という言葉が、そういう子供には支えになるでしょう。不登校の状況にあって、元気を失っているような子供には、「今のままのあなたでいい」という言葉の方が、心に浸透します。
しかし、その言葉だけでは人生は出来上がっていきません。何らかの努力をしなければ、現状がずっと続いていくだけです。場合によっては、人生が下がっていきます。まだ学校に通うべき年齢で、勉強せず、運動することもなく、好きなことに熱中することもなく、何も努力しないでいけばどうなるか、明らかでしょう。
そこで、「今のままのあなたでいい」という言葉とは逆の、「努力が必要」という言葉が必要になってきます。子供が元気を取り戻し始め、努力することが可能な心身になってきたら、この言葉で子供のやる気を出していくことが、この段階の不登校の子供への接し方となります。
令和の今は、確かに努力した結果がなかなか出にくい時代です。それでも、結果が出ないわけではありません。幸福な人生を望むなら、その幸福に見合った努力は必要です。そこまで望まない場合でも、現状を変えたいと望むなら、何らかの努力が必要です。不登校の状況にある子供でしたら、その状況は変えたいはずですので、その意味ためにも「努力が必要」という言葉が、子供にとっては必要でしょう。
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