わが子が不登校になって、多くのお母様たちが「自分の子育てが悪かったから」と悩み、落ち込んでおられるのではないでしょうか。他の子は学校に行っているのに、自分の子は行けていない、だから自分の子育てに何か問題があって、こうなっていると考えておられるでしょう。
日本国内で、不登校になっている子は18万人以上です。もし、子育てに問題があって不登校が発生しているとして、こんなに多くの親御さんたちの子育てに、問題があるというのでしょうか。ちょっと信じがたいことです。
現代の教育制度の形は、1873年(明治6年)にある程度、整いました。今から150年近く前です。その当時は、その制度の形でもよかったのでしょう。個人的に、そうした教育のおかげで、日本は発展してきたと思います。
その時の教育制度は、基本的に集団授業形式です。1人の教師の前に、40名くらいの生徒がいて、教科書をベースに授業を進めていくという形式です。少ない資源によって、できるだけたくさんの結果を出すという意味では、有効なやり方だったのでしょう。
そして、現代までの歴史において、途中、敗戦があり、日本は豊かになっていきました。昭和後半から平成、令和と、景気は良くない時期はあったものの、基本的には豊かになっていきました。
豊かになったら、進むのが多様化です。例えば、貧しい時代は、お腹を満たすことができたら、どういう食べ物でも満足していましたが、豊かになればそれだけでは満足できず、食べたいものに対する嗜好が多様になります。中華が食べたい者、洋風料理が食べたい者、和風が食べたい者、さまざまです。
子供たちも、多様化していきます。昔は、広場などで一緒に遊んでいた子供たちが、ある子は少人数で家でゲームなどをして遊び、ある子は好きなことを見つけてお稽古ごとに熱中し、という具合に、多様化していきます。
子供たちは多様化する一方で、150年近く前に作られた教育制度は、相変わらずの集団形式の教育です。そのような集団形式の教育制度が、子供たちの多様化に対応できていないのではないでしょうか。そこに、不登校の子供たちが増える背景があると推測しています。
子供たちの多様化によって、集団で過ごし、勉強し、生活するという状況の中になじめない子は、どうしても出てくるのでしょう。少人数なら普通に過ごせるけれども、大人数の集団の中での生活には、どうしてもなじめない子が出てきても、おかしくはありません。そうした子がいることを、教育制度は前提としておらず、そのために不登校が発生してしまうのだと、私は考えています。もちろん、それだけが不登校の背景、原因ではないでしょう。しかし、大きな原因の一つだと思うのです。
先ほど述べましたように、日本の発展は、教育に負うところが大きいと思います。明治以降の日本の教育制度は、ある程度、成功を収めたと思うのですが、制度疲労してそろそろ、変えないといけない時期に来ているのでしょう。不登校が増加している状況では、そのことを強く感じます。
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