お気持ちはとても分かります。
わが子が不登校になって、親御さんとしては一日でも早く、学校に行ってほしい、学校に行かせたいというお気持ちでしょう。それまでは普通に学校に行っていたのに、徐々に、あるいはある日突然、学校に行けなくなってしまった、行かなくなってしまった、だから早く学校に戻ってほしいという、親御さんのお気持ちは、当然だと思います。そう思うのは、まさに親の愛情です。
しかし、です。学校に行かせようとしても、ほとんどの場合、うまくいかないのです。不登校になって直後、学校に行かせようとしてうまくいくのは、子供が明らかに「学校に行こうかな、それともやめようかな」と迷っているような場合です。この場合でしたら、背中を押してあげたら学校に戻る可能性があります。それ以外の場合は、不登校の状況になったら、「早く学校に戻ってほしい」と願っても、なかなか戻るのは難しいです。
それは、そうした状況にある子供の心の中には、おそらく何らかの悩みや苦しみや疑問が存在していて、それらを解消していかないと、不登校の状況から脱出することが困難だからです。
例えば、集団の中にいると、過剰に集団に合わせようとしてしまって、自分という存在がなくなるような思いがして、それで不登校になる場合です。この場合、集団に合わせすぎることを減らしていく必要がありますが、では、どうして集団に合わせすぎるのか、そのような風に考えてしまうのはどうしてか、掘り下げていかなければなりません。
しかし、不登校の子供の大部分が思春期であり、思春期の心は自分でもよくわかっていないことが多いのです。どうして、集団に合わせようとするのか、その心理を、自分でもわかっていないことがあります。
そこで、不登校の子供たちに対しては、どういう気持ちなのか、何を苦しみ、悩んでいるのかをよく聞いてあげることが大切です。それが、不登校解決の出発点となります。問い詰めるのではなく、聞くことです。
繰り返しになりますが、子供自身も、自分の気持ちをよく分かっていないことがあります。それを、子供とのコミュニケーションによって、子供が拒否しないように注意しつつ、「こういうことで苦しんでいるのではないだろうか」と理解していきます。
そのように、子供の話をよく聞いて、子供の心の状態を理解していくことは、不登校の状況の解決においては一つの山場を乗り越えたことになります。子供の心の状態が理解できれば、次にどういうふうにコミュニケーションをとっていけばいいか、その方向が明らかになっていきます。どういう言葉をかければ、子供が抱えている悩みや苦しみを解消できるかが、明らかになっていきます。
子供が不登校になると、どうしても「すぐに学校に戻ってほしい」と考えてしまいますが、まず子供の話を可能な限り聞いてあげて、その悩みや苦しみを理解しようと努めてください。
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