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不登校カウンセリングブログその1341.不登校の増加は、社会の変化によるところが大きいです―「子育てがうまくいかなくて、わが子が不登校になった」とお悩みの方へ―


 「地域社会が、それまで担っていた子育てを放棄し、親御さんがほぼ単独で子育てをしなければならなくなった社会の状況に、不登校を生み出す要因がある」


 さまざまな文献を読み、不登校になっている子供をお持ちのご家族と接してきて、現時点で私が、不登校の状況に対して持っている考え方です。この考え方は、もしかしたら変わるかもしれませんが、今のところ、不登校について知れば知るほど、この考え方は補強されています。


 昔、1950年代ぐらい、あるいはもっと古い時代にはさらに当てはまることだと思いますが、子育てを担っていたのは、その子供の親だけではありませんでした。三世代同居の大家族でしたら、親だけではなく、祖父母の世代も、子(孫)育てに参加していましたし、おじやおばがいたら、その人たちも子育てに参加していました。


 そして、その家族がいる地域社会も、子育てを担っていました。50代以上の人であれば、悪さをすれば近所の大人から「こらっ」と怒られた経験があるでしょう。近所の大人の名前と顔が一致していて、顔を合わせてコミュニケーションをとることは、地方を中心に行われていました。私は鹿児島出身なのですが、鹿児島には郷中(ごじゅう)教育というものがありました。鹿児島(薩摩)において、武士階級の子供が、同じ地域の、比較的近い年齢の子供たちと集団で、心身を鍛錬する教育がなされていましたが、そのような形で、地域によって子育てが分担されていたのです(郷中教育は、武士階級が消えてから、一部地域のみで行われる他、なくなっていきました)。


 しかし、地域社会の崩壊と、核家族化という社会の変化によって、現在はほぼ100%、子育ては親が行うものになっています。今、親になっている方には、想像しがたいかもしれませんが、子育てのほぼ100%を親が担うという状況は、昔は珍しいことだったのです。


 そうなりますと、子供たちの中には、人と適切な距離をとって接することが、苦手になる子供が出てきてもおかしくありません。地域社会が根付き、大家族の中で育ってきたのでしたら、親以外の、さまざまな年代の人と出会ってきて、生活の中で、そうした人と人間関係を結ぶ中で、人間関係の調整能力を身につけることができました。しかし、地域社会の崩壊と核家族化という現状では、さまざまな年代の人と出会う機会が減り、それに伴って人間関係の調整能力を身につけることが、あまりできなくなります。


 学校に行って、人間関係に問題があるわけではないのに疲れてしまって、それで不登校になるという状況は、そのように社会が変わってきたために起きている面があり、「子育てに問題があるから」とは言えないと、私は考えています。




 

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