不登校の状況にある子供への「禁句」があります。そのことを子供に伝えると、多くの子供が傷ついたり、心を閉ざしたりする言葉です。その言葉をいくつか、挙げたいと思います。
1 「みんな普通に学校に行けているのに、どうしてあなたは行けないの?」
この言葉を伝えて、親御さんも子供も、おそらくいいことは何もないでしょう。子供は深く傷つき、場合によっては親御さんとのコミュニケーションをシャットアウトすることもあります。親御さんは、心を閉ざした子供に何も伝えられないという状況になる可能性があります。
不登校になっている子供の、すべてとは言いませんが、その多くが、他人にはできて自分にはできていないことに対する劣等感を感じています。思春期であれば特に、他人の目を強く意識し始めますので、このように他人と比較すること、比較するだけではなく、できないことを指摘することで、ただでさえ感じやすい劣等感を、より強くしてしまいます。
2 「これからどうするの?」
この言葉は、子供が外の世界に関心を持ち始めて、かなり元気になった「回復期」において、伝え方のニュアンスに気をつけて、「これからのことを一緒に考えてみよう」と言うようなスタンスで伝えるぶんには、特に問題はありません。
ただ、それ以外の時期、不登校直後の時期や、その後の「安定期」においては、子供は将来に対する不安や焦りを抱いていますので、その言葉はそうした不安や焦りを拡大させることになります。
3 「〇〇しなさい」という指示・命令の言葉
「朝は早く起きて、夜は早く寝なさい」「時間があるなら勉強しなさい」という指示・命令を感じさせる言葉です。
不登校の状況にある子供は、「他の子供はできていることが、自分にはできていない」ということへの劣等感を抱いています。そのような子供に、指示・命令の言葉を伝えると、その言葉には、「(ほかの子供のように)〇〇しなさい」というふうに感じ取ってしまって、それが劣等感をさらに刺激してしまう可能性があります。
ただ、暴力をふるうような場合は、毅然と「暴力はやめなさい」と伝えるべきでしょう。そのような例外はあります。
4 「安定期」における、「学校に戻る」ことを促す登校刺激の言葉
不登校は一般に、「混乱期」→「安定期」→「回復期」という段階を経て、解決していきますが、「安定期」においては登校刺激の言葉は、子供にとって好ましくない言葉です。
安定期においては、学校に戻ることをあきらめていて、同時に学校に行けない自分自身への劣等感を抱いています。他の子供は行っているのに、自分は行けていないということへの劣等感です。
そのような「安定期」において、登校刺激の言葉はさらに、劣等感を強めてしまう結果となってしまいます。
Comentarios