不登校カウンセリングブログその1360.一見、子供の周りに何も起きていないのに、どうして不登校になるのでしょうか?―拡大しない「主観的自己」―
- 不登校・引きこもりカウンセリング「エンゼルアカデミー」
- 2023年1月18日
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前回のブログに続きます。子供の周りで、何か起きたわけでもないのに、どうして不登校になるのか、について書いていきます。
大人になっていく過程とは、集団の中での自分を意識していく過程でもあります。そして、思春期になると、周囲の目が異常に気になり始めます。それは、集団の中の自分という意識、すなわち「客観的自己」が強くなるからであり、現代の子供たちはその「客観的自己」が強すぎる傾向があります。つまり、他人の目を意識しすぎるのであり、学校に行くととても疲れて、不登校になるということを、前回のブログでは書きました。
今回のブログでは、思春期に本格的に目覚めていく「主観的自己」によって、何も起きていない様子なのに、不登校になる状況について分析していきます。
「客観的自己」が、「他人の中の自分」、「他人の目を意識している自分」、「建前の自分」なのに対して、「主観的自己」とは、「こうしたい自分」、「こうなりたい自分」、「本音の自分」です。
「客観的自己」が、思春期あたりから子供の心の中で大きくなり始めるのに対して、「主観的自己」は幼いころからもともとある程度の大きさがあります。小さい子が駄々をこねて「〇〇したい!」とわめくのも、「主観的自己」の一種です。
ただ、思春期にさしかかると、その「主観的自己」は社会性を帯びたものになっていきます。社会に出ることを徐々に意識し始めますので、進学はどうするか、社会に出たら何をするかということを含んだ、「主観的自己」となっていき、それが拡大していきます。
この時、「こうなりたい」というモデルが子供の身近にあったり、社会の中で「こういう生き方が素晴らしい」と一般に認められているものがあったりすれば、「主観的自己」が順調に拡大していきます。
ところが、現代社会では、そうしたものがあまりないために、子供は目指すべき方向が分かりません。自分はこうなりたい、こうしたいということがないまま、学校に行き、勉強することになります。つまり、拡大すべき「主観的自己」が拡大していかないのです。
「何もやりたいことがない」、「なりたいものなんてない」、「夢なんてない」。
そんな言葉を、子供から聞いたことはないでしょうか。「主観的自己」が拡大していないため、このような言葉が出てしまうのです。こうした「無気力」の思いを持っている不登校の子供は多く、不登校になった原因を「不安・無気力」ということを挙げた割合は50%近くとなっていて、「主観的自己」が拡大していないために、不登校になっている子供の多さがうかがえます。
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