どうしても、学校に戻れない子供、学校に行けない子供はいます。ずっと学校に行けないというのではなく、進学したら学校に行けるようになることはもちろんあります。小学生時に不登校になり、小学校に戻れないけれども、中学校には行くということや、中学生時に不登校になり、中学校に戻れないけれども、高校には行くということです。ただ、小学校には戻れないまま、あるいは中学校には戻れないまま、ということはあります。
どうしても学校に戻れない場合、無理に戻そうとせず、「学校に行かなくてもいい」と子供に伝えるのは、子供のプレッシャーを軽くする上でも、有効だと思います。できれば、学校に戻った方がいいことはいいのですが、子供の周囲の人がその考え方で凝り固まっていると、子供は「学校に行かなきゃならないのに行けない」という状況の中で、「自分はダメだ」と落ち込んでしまいます。
「うちの子は、どうしても学校に行けないようだ」と感じるのでしたら、「学校に行かなくてもいい」と伝えて、ホームスクーリングに切り替える方法もあります。日本では制度としては認められていませんが、家で計画的に勉強して、高校や大学、専門学校の進学時に、学校に戻って、社会に出ていくということは、十分にありうる進路です。
そういうふうに、「学校に行かなくてもいい」ということは問題ないのですが、「勉強しなくていい」は、子供の将来を厳しいものにする危険性があります。
子供が、スポーツや芸術などにおいて、親のひいき目でなく、突出した才能があるのでしたら、学校の勉強はしなくても、子供が自分の将来を切り開くことはできる可能性はあります。その場合でも、まったく勉強が不要というわけではありませんが、才能で将来を切り開くことはできます。
しかし、そのような子供はごく一部です。一般的には、勉強していきながら、将来を切り開く武器にしていく道が、多くの子供にとって適切でしょう。
「学校の勉強なんて意味がないから、勉強しなくていい」という考え方があります。確かに、高校で学んだような数学や理科など、専門職に就かない限り、役に立つことはありません。
ただ、勉強する過程で考えるプロセスが、非常に役に立ちます。勉強していく中で、基本的に考えていくことになります。繰り返し、繰り返し、考えていくことで、考える力は高まっていきます。
大人になると、仕事や人生の決断などで、考える力が必要になります。考える力は個人差が大きく、その力が弱い人は、残念ながら自分が不幸になる方向に、決断していく可能性があるのです。身の回りにも、わざわざ不幸になる決断をしていった人はいます。さらに気の毒なことに、どうして自分が不幸になったか、そこを考えることができませんので、いつまでも不幸な状況のままなのです。考える力は本当に、人生を左右します。
「学校に行かなくてもいい」ということは、社会に出ていく道を計画的に決めていけば問題はないのですが、「勉強しなくてもいい」は、子供の将来を厳しいものにしますので、その言葉は子供に伝えない方がいいと思います。
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