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不登校カウンセリングブログその1364.「社会のあり方」が変わったために、不登校が増えたことをきちんととらえない限り、不登校は増えていきます。


 不登校がどうして増えているのでしょうか。教育関係者や、子供が不登校になっている家庭では、その疑問を抱えて頭をひねっています。


 学校に問題があるのか、家庭に問題があるのか、どうしても学校や家庭に原因を求めてしまいがちです。いじめが原因で不登校になるということでしたら、学校に原因があります。そういう事例は、確かにあるのですが、不登校全体から見ると割合は少なく、「学校に問題があるから不登校が増えている」とまでは言えません。


 「家庭に問題があるから不登校が増えた」ということについても、確かに「家庭に問題があって、子供が不登校になった」という事例はあるでしょう。ただ、これだけ不登校が増えている状況が、果たして家庭の問題だけで起こっているかと考えると、それも現実的ではありません。


 私は、不登校が増えているのは、社会のあり方が変わったからであると推測しています。ここで言う「社会のあり方」とは、地域コミュニティが機能していた昔の社会と、それがほぼ失われた現代の社会、ということです。


 地域コミュニティが機能していた社会とは、隣近所に誰が住んでいるかを把握していて、地域一帯が子育ての機能の一部を果たしていた社会です。大都市圏か地方か、違いはありますが戦前や1970年代くらいまでは、そういう社会だったでしょう。


 そうした社会では、ある地域の大人たちは、自分の地域の子供の顔と名前を認識していました。そのため、危ないことをしていたら「〇〇君、危ないよ」と注意することもあり、時には「うちでおやつでも食べていきなさい」というふうに勧めることもありました。その地域で、子供を育てていたのです。


 そういう社会では、子供は、さまざまな年代の子供たちと遊びつつ、親以外の大人と交流していました。他人と接するコミュニケーション能力が、幼いときから自然に身につくような環境だったのです。


 しかし、地域コミュニティが崩れていき、隣近所に住んでいる人が誰か、まったく分からない社会になると、地域で担っていた子育て機能が失われてしまいました。子供は、自分の地域の大人と交流もなくなり、またさまざまな年代の子供たちと一緒に遊ぶことも少なくなりました。そうなると、他人と接するコミュニケーション能力は、昔ほど身につけることはできなくなっているのです。


 多くの子供が、学校に行って初めて、たくさんの人とコミュニケーションをとることになります。十分なコミュニケーション能力を身につけてこなかった子供の中には、うまく距離感をもって他人と接することができない子供もいるでしょう。他人を特に意識するようになる思春期などは、「うまく人と接することができない」と深く落ち込み、そうして不登校になることがあります。


 増えている不登校の状況に対処するには、このような不登校が増えた背景を、しっかりつかんでおく必要があります。そうでなければ、ピントのずれた不登校への対応になってしまうでしょう。






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