わが子が不登校になると、いじめが原因だったような事例を除き、「自分の子育てに問題があった」と、多くの親御さんがご自身を責めてしまいます。世間一般でも、「不登校になるのは、親の子育てに問題があるからだ」という考え方がしばしば聞かれます。そうした考え方に影響を受けてしまって、「自分の子育てに問題があった」と考えてしまうのでしょう。
不登校の状況にある子供は相当な人数になっていて、率直に申し上げると、子育てに問題があって不登校になった事例はまったくないわけではないと思います。現在、20万人以上の子供が不登校になっていますので、その中には子育てに何かしら原因があってそうなっている事例もあるでしょう。
ただ、私がカウンセラーでお会いしていて、またさまざまな不登校に関する資料を読んでいて、「子育てに問題があって不登校になっている」ということを感じさせる事例は、それほど多くはないと感じています。子育てに問題がある場合は、不登校になるよりも非行に走ることの方が多くて、そういう場合は子供に無関心でしょう。わが子が不登校になってネット等で不登校に関することを一生懸命調べている親御さんの場合、子育てに問題があるようには思えないのです。
不登校になるには、いろいろな要因が絡んできます。思春期に不登校になる場合は、社会の変化ということも無視できません。私のホームページに掲載しているのですが、都市部へと人が移動し、地域コミュニティが崩壊したために、人との距離感を学ぶ機会が少なくなった現代では、思春期になり他人の目が気になりだすと、どのように距離感を持って接すればいいかが分からなくなり、それによって不登校になるという事例が多いように感じています。この場合は、子育てに問題があるというわけではないでしょう。
子供本人の気質も無視できません。発達障害によって不登校になる事例もありますが、発達障害は子育ての結果によって起こるものではありません。内気なため、沢山の人の中にいるのが苦しくなって不登校になる事例もありますが、それも子供本人の気質によるものです。
不登校には様々な要因や背景があり、「不登校=問題がある子育て」という図式はあまりにも単純化していて、しかも現実を踏まえておりませんので、わが子が不登校になったからといって、「子育てに問題があったからだ」と落ち込まれず、わが子が不登校になった本当の要因は何か、できるだけ冷静にお考えください。
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