今回の内容は、不登校の後半、つまり、エネルギーがたまってきて、将来のことを考えるようになっている段階にある子供に対するものです。この段階にある子供は、そろそろ外の世界に関心を持ち始めて、将来のことを考え始めます。
このように子供が考え始めましたら、子供が「好き」なことを見つけること、「好き」なことを大切にすることが、これから重要になるということを、教えてあげていただきたいのです。そして、今、子供に「好き」なことがあるのでしたら、それを決して否定しないでいただきたいのです。
不登校の状況から出ていったらもちろん、子供は大人になっていき、社会に出ていきます。社会に出て何らかの道に進んでいくことになります。その時、「好き」なことが、方位磁石のような役割を果たしてくれるのです。
「好き」なことを掘り下げていくと、そこにはたいてい「やりたいこと」「なりたいもの」が埋まっています。例えば、歴史が好きということでしたら、そこを掘り下げていくと、「歴史を研究したい」とか、「歴史研究家になりたい」ということが埋まっているということです。それらが、社会に出てから進むべき道、進みたい道を決めてくれます。
なぜ、それが重要かと言いますと、不登校の状況から出ていく時や、それ以降において、前に進む原動力になるからです。「こういうことをやりたい」「こういうものになりたい」ということは、自ら努力する原動力、たとえ途中で壁にぶつかってもそれを乗り越えようとする原動力になります。不登校の状況から脱出してから、おそらく何回か、人生の壁のようなものにぶつかるでしょう。その時、「こういうことをやりたい」「こういうものになりたい」という意欲があれば、簡単にあきらめたり、落ち込んだりするようなことはありません。
何が人間の幸福かは、人それぞれですから何とも言えません。ただ、「やりたいこと」「なりたいもの」を追い求めてそれらに近づき、もしかしたら違う形になるかもしれませんが、それらを達成するところに、幸福があるのではないでしょうか。
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