不登校直後から、子供の心が表面上は落ち着いている「安定期」の間の、不登校の対応の中心となるのは、おそらく「子供への理解」だと、私は考えています。
不登校直後から、「安定期」までの間は、多くの親御さんは、子供のことが理解できないでしょう。どうして、不登校になっているのか、なぜゲームばかりしているのか、何を考えているのか、これからどうしたいのか、親御さんが知りたいことは、子供を見ていてもあまり理解できません。
理解できないという状況と、不登校の状況が合わさって、親御さんは焦りやいら立ちを感じ、子供に対して、そのような言葉を投げかけてしまいます。それは、親の愛情ゆえの言葉なのですが、残念ながらそういう言葉は、子供の心を閉ざしてしまうのです。
元不登校の子供が発信したものを読むと、不登校になってからしばらくは、親とよく衝突した、ということが書かれています。自分の気持ちを理解してくれなかった親とぶつかり、コミュニケーションも途絶えることが多かったと、当時のことをふり返っています。
親御さんの立場からすると、「理解したくてもできなかった。心の内を、語ってくれなかったではないか」と言いたくなるでしょう。不登校の状況にある子供は、自分の心の内を語ってくれません。それは、不登校になった自分に対して否定感を抱いていて、それで語りたくないという気持ちなのかもしれません。思春期特有の、親離れの気持ちから、語りたくないという気持ちなのかもしれません。自分の気持ちが、自分でも分からないということかもしれません。とにかく、語ってはくれないのです。
そのことを踏まえた上で、子供の気持ちを理解しようという姿勢を親御さんが示すと、子供は心を開いてくれます。人は誰でも、自分の気持ちを理解しようとしてくれる人には、心を開いてくれるものです。それは、不登校の子供も同じです。
子供は、親に自分の気持ちは言いたくないけれども、聞いて欲しいという気持ちもあるという、矛盾した状態にあります。親からすると、なんて矛盾しているんだ、と感じるでしょうが、その矛盾を越えて、子供の心を理解しようとする姿勢は、子供の心を開きます。そして、コミュニケーションがより円滑になっていき、不登校の状況をいい方向に変えていきます。
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