比較的、場面緘黙症は女の子に多いような気がします。家庭では話すことができるのに、学校などの公の場ではほとんど話すことができない「場面緘黙症」は、子供にとっては辛いものがあります。周りの子たちは楽しそうに話しているのに、その話の輪の中に入って話すことができない自分を意識してしまって、「自分はなんてダメだ」と落ち込むこともあります。
子供には結構残酷なところもあって、そういう場面緘黙症の子供に対して、「変わってる」と露骨に指摘したり、陰口を言ったりします。そのため、余計に話の輪の中に入っていけず、さらに「自分はダメだ」と落ち込むことがあります。
そのような場面緘黙症の女の子が大人になってから、再会したことがあります。二人と会ったのですが、対照的な姿でした。対照的な姿ですが、それぞれ充実してそうな姿でした。
一人は、「この子は本当に場面緘黙症だったのだろうか」ということを感じさせる姿でした。快活な姿でよく話し、「あの時の〇〇さんだよね?」という言葉が口から出かかったほどでした。
どうして子供の頃は話せなかったのか、どうして今は話せるようになったか聞いたところ、「うーん、よく分からないですね」(笑)とのことでした。
「ただ当時は、すごく周囲の人を意識していたような気がします。成長するにつれて、いろいろな人と出会い、人慣れしていったのかもしれません」
そう話していました。
もう一人のケースは、大人になってからも静かなタイプです。静かではあるのですが、話せないということはありません。「静かなレディ」という感じの女性になっていました。
そのお母さんの話では、他人の秘密などは決して口外せず、また他人の心に寄り添うような女性となっていて、人から信頼されて相談を受けることが多いみたいです、とのことでした。
その女性いわく、場面緘黙症だった子供時代、辛かったことも多くて、他人の気持ちを傷つけたくはない、寄り添えるようになりたいと思っていた、また、人と話せない自分のことを嫌いにならず、静かではあっても暗くならないようにしようと努めていた、とのことでした。
対照的な二人のケースですが、それぞれ充実している印象を受けました。快活になるも良し、静かな人柄になるも良し、正解は人それぞれ、ということなのでしょう。
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