「不登校になる子供は、精神性が高い子供が多い」ということを、不登校に携わっている人からよく聞きますし、私個人もそう感じます。もちろん、100%の子供に当てはまるわけではないのですが、一般的には精神性が高い子供が多いです。この精神性が高いとは、他人のことを思いやる気持ちが強いとか、感受性が高い、正義感が強い、物事を深く考える傾向がある、というようなことです。
不登校がなぜ増えているのか、それを知りたいという人はいらっしゃると思いますが、私は「不登校になる子供は、精神性が高い子供が多い」というあたりに、増えている背景があるように感じています。
不登校になった子供の中には、「たくさんの人の中にいるのは疲れる」と訴える子供がいます。いじめを受けているわけでもなく、友達とうまくいっていないわけでもないのですが、「クラスの中にいると疲れる」といって、学校に行きたくなくなるのです。
学校では、ほとんど道徳を教えなくなりました。道徳には、「他人とどう接するべきか」というような価値観、善悪の価値観などが含まれています。そうした価値観を教えることはなく、勉強でがんばっていい成績を取るべきだ、ということのみを教えるようになると、人間関係がギスギスしてきます。
また、元気のあり余った、いわゆる「やんちゃな子供」は昔からいて、学校で道徳を教えていた時代はまだ、そういう子供を抑えることができていました。しかし、道徳が消え去っていくと、そういう子供が野放しになります。子供時代は、どちらかというと自分の欲望に正直なタイプの方が幅を利かせるところがありますので、クラスの雰囲気は荒っぽい感じになっていくのでしょう。
そうなると、他人のことを思いやるような精神性の高い子供は、たとえ自分に直接、害が及ばなくても、「クラスの雰囲気がいやだ」と感じて、学校に行くのを拒否しだすのではないでしょうか。
もちろん、不登校の背景はそれだけではなく、さまざまな背景もあると思いますが、以上の背景によって、不登校になっているケースの、ある程度の割合については説明できるのではないかと思うのです。
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