不登校カウンセリングブログその1266.不登校の子に対して「今、頑張らなければ将来が困るよ」という声がけは有効なのでしょうか。
- 不登校・引きこもりカウンセリング「エンゼルアカデミー」
- 2022年10月17日
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不登校の子、あるいは不登校になりそうな子に対して、「今、頑張らなければ将来が困るよ」という声がけをすることがあると思います。不登校の子供のそばにいる人、親や先生からこうした声がけをすることあると思います。実際、不登校の状況がずっと続いていけば、将来が困ることは困るでしょう。こういう声がけは有効なのでしょうか。
結論から先に書きますと、
・元気があって
・学校に行き続けようかどうしようか迷っていて
・いじめなどがない
場合の、不登校の子供、あるいは不登校になりそうな子供への登校刺激としては有効かと思います。
こういう状態の子供は、頑張れば学校に行けますし、自分で迷ってもいます。こういう言葉で背中を押してもらったら、学校に行き続けるか、学校に行くような状況になる可能性があります。
また、このような声がけは、ある種の「脅し」です。脅されても、「ああ、そうかもしれないな」と受け止めることができ、それが背中を押すように感じることができるためには、受ける側にある程度の精神的な余裕が必要です。先ほど箇条書きで挙げたような子供であれば、登校刺激として受け止めてくれる可能性はあります。
それ以外の状態にある子供に、このような声がけをする場合は、注意が必要です。もしかしたら、かえって子供の自己否定感を大きくしたり、将来への希望を失わせたりする可能性があります。
行きたくない学校に何とか行き続け、そのために活動エネルギーを使い果たしてしまって、「もう学校に行けない」と考えている子供に、「今、頑張らなければ」と話したとしても、それまでずっと頑張り続けてエネルギーを使い果たしているわけですから、そのような言葉は心に届かないでしょう。むしろ、「これまで頑張ってきたのに、まだ頑張れというの!」と反発される可能性があります。
「もう学校に行かない!」と決意している子にも、こういう言葉は心に届かないでしょう。そのように決意している子も、本当は頑張らなければならない、学校に行かなければならない、不登校になれば将来が閉ざされる可能性もあるということは、認識しているでしょう。不登校になることについて、後ろめたさを感じているのです。
そうした子供に、「今、頑張らなければ将来が困る」と話すと、頑張れない自分に対して自己否定感が強くなり、「将来が閉ざされるかもしれない」という気持ちを強めてしまうでしょう。
この声がけは、ある種の「脅し」と書きましたが、精神的に落ち込んでいる子供にはまともに、脅しとして作用します。脅しとしてまともに作用して、落ち込んでいる心がますます、落ち込む方向に向かってしまう危険性があります。
「今、頑張らなければ将来が困る」という言葉をかける時は、子供の状態をよく見極める必要があります。
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