いじめや不登校、引きこもりで、子供たちが苦しんでいるのは、現在の状況だけではありません。過去のことでも苦しんでいるのです。
前回のブログで、中学時代にいじめを受け、社会に出てからもその経験によって対人関係に自信が持てなくて、いじめをした同級生に仕返しをしようとした人のことを取り上げました。過去に起きたことがどうしても忘れられず、憎しみなどの感情を引きずったまま、社会人になっても苦しんでいるのです。
また、不登校や引きこもりになっている子供たちも、やはり過去にいじめを受けたり、あるいは何らかの苦しい過去があって、平穏な状況にあっても、その過去を忘れられず、苦しんでいるために、不登校・引きこもりになっているのです。
自分が何かをやって、あるいはやらなくて、過去のことに苦しんでいる場合は、まだ、気持ちの整理がつきやすいかもしれません。いじめのように、自分には落ち度がないにもかかわらず、他人の言動がきっかけとなって、苦しい過去を抱えていて、今も苦しんでいる状態に対して、どうすればいいのでしょうか。
苦しい過去に対処するには、二つありますが、ここではその一つ、「忘却力」を取り上げます。忘却力、忘れてしまう力です。忘れることは、問題を起こすこともありますが、苦しい過去や嫌なことを忘れさせてくれるという、いい効果もあるのです。
苦しい過去、嫌な過去は、そこから教訓や忍耐力を得たら、もう忘れていくことです。その過去を変えることは、基本的にできませんし、その過去で苦しんでいても、結局は損でしかありません。思い出しそうになったら忘れ、思い出しそうになったら忘れ、そのような作業を心の中で繰り返すことで、苦しい過去を忘れいていくことが、そこまでいかなくとも、とらわれることがなくなっていきます。
いじめ加害者など、たいていの加害者は、自分が他人にしたことを忘れています。加害者が忘れていることに、被害者がいつまでも忘れられず、現在と未来の時間を費やすのは、非常にもったいないことです。「忘却力」も立派な生き抜く力であり、過去に苦しんでいる不登校・引きこもりの子供たちには、ぜひ、忘れることの大切さを知っていただきたいのです。
Comments