不登校の原因の一つに、「無気力・不安感」というものがあります。学校に行くことや勉強すること等、さまざまなことに対してやる気が出ない、人間関係や学校、あるいは自分の将来に対して不安を感じるという理由で、不登校になっているケースは多く、不登校の原因の中では上位になります。
「無気力・不安感」と一言で表現していますが、そこにはさまざまな背景があります。ここでの背景とは、無気力・不安感を抱く事情です。どうして子供たちは、無気力になり、不安感を抱くのでしょうか。そこにある背景とは何でしょうか。このことについて詳しく知ることで、子供の心の状態を少しでもつかめます。その結果、どういう言葉を子供にかけてあげればいいかがわかります。不登校の解決のためには、無気力・不安感を抱く背景を理解することが必要です。
1 人間関係への不安感
クラスや部活などの人間関係が、はたから見て、うまくいっていないわけでもなさそうなのですが、その人間関係の中にいる子供本人は、その人間関係に対して不安感を抱く場合があります。子供が思春期の真っただ中にある場合は、他人が自分のことをどう思っているのか、非常に気になってしまうことがあります。実際には、周囲の人は特に意識していないのに、自分のことを意識していると思い込んでしまって、他人の目が気になって仕方ないと感じ、それが不安感に変化することがあります。
あるいは、周囲の人に合わせないと自分が孤立してしまうと思い込んでしまって、周囲の人に過剰に合わせようとし、それで不安感を感じることもあります。
2 自分自身が取るに足らない存在に思えることによる無気力
不登校になりやすい年頃は、自分とは何だろうかと考える年頃でもあります。自分とは何だろうか、どういう存在なのかと考え始め、それとともに、他人との関わりを強く意識し始めると、他人との比較で自分という存在を、とらえようとすることがあります。
その時、本当はそういうことはないのですが、他人に比べて自分は劣っているように見えて、自分自身が取るに足らない存在に思えてしまうことがあります。そうなると、「自分は大したことはない。だから何をやっても大したことない」と思い、そこから無気力になる子供がいるのです。
3 将来を意識し始めることによる不安感
高校生ぐらいになると、自分の将来のことを真剣に意識し始めます。将来、何をすべきか、どういう進路を進むべきか、考え始めますが、自分自身はまだ何者でもない存在です。それでまったくかまわないのですが、何者でもない存在である自分が、果たして将来をしっかり生きることができるのか、という思いにとらわれて、不安感を抱くことがあります。
4 勉強する意味が分からないことによる無気力
いったい何のために勉強するのだろうか。そう考えて答えを見出せず、勉強なんか、やったって意味がないと思うに至り、無気力になることがあります。
5 生きる目的が分からないことによる無気力
生きる目的は何か。そのように考える子供がいます。その疑問への答えが出せずに、生きる目的が分からないなら、生きていたってしょうがないと無気力になることがあります。
6 何をしたいか分からないことによる無気力
将来を意識し始めると、自分は何をするべきなのか、何をしたいのか、考え始めることがあります。何をしたいか分からないという状態の中で、無気力になっていきます。
このように、不安感や無気力になる背景もさまざまです。子供自身が、その背景を認識していることもありますが、認識していないこともあります。その場合、自分でもよく分からないが、不安感を抱き、無気力になります。
こうした不安感・無気力によって不登校になった子供に対しては、その心の内を聞いて、なぜそういう思いを抱くようになったかを知り、どういう言葉をかけてあげれば、そうした思いが軽くなるか、考えていく必要があります。
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