不登校の子供のご家族は、不登校の状況を変えようと一生懸命努力しておられます。その状況のままでは、長期化すると引きこもりになり、厳しい状況になりますので、その状況から脱出していくことを強く望んでおられます。
そして、不登校の状況から脱出する道は、多くの場合、再登校です。多くの子供もご家族も、再登校を望みます。今まで通っていた学校に、再び通えるようになれば、元通りの環境になり、子供にとっても家族にとっても負担は少ないです。
ただ、再登校が難しいことはあります。どうしても子供自身が、多くの同級生と接する環境が合わない場合、いじめが原因の不登校で、学校が対応してくれない場合などは、元の学校に再登校する道ではなく、別の道を考えなければならないことがあります。
転校を選択する道もありますし、自宅で学習して進学していく道、就職する道などもあります。子供の意思や年齢などにもよりますが、再登校以外の選択肢を選ぶ場合も出てきます。
こうした場合、「不登校の決着は再登校すること」と強く考えすぎてしまうと、他の選択肢を考える余裕がなくなってしまいます。そうなると、可能性の低い再登校を実現しようと、時間とエネルギーを注いでしまい、時間ばかりがたってしまって、子供にとってどんどんマイナスの状況になってしまいます。不登校の状況はやはり、多くの子供にとっては辛い状況です。「自分は学校に通えていない」と自己否定感を持っていますので、その自己否定感がますます強くなり、外の世界に出ていこうという思いが、後退していく可能性があります。
そこで、再登校という選択肢を、不登校の決着の第一の選択肢と考えながらも、もっと幅広く、不登校の決着という状況を考えた方が、子供たちもご家族も、お気持ちに余裕が出るのではないかと思うのです。
つまり、不登校の決着を、「子供たちが自らの足で、自らの人生を幸福に向かって歩んでいくこと」ととらえると、再登校以外の選択肢も考えることができるのではないかと思うのです。
子供にとっての幸福な道とは何か、子供の年齢によってはまだまだ具体的にはならない面はあります。不登校の状況にある子供たちは、生きることに意欲が持てなくなっていることも多く、「幸福な道など考えられない」ということもあるでしょう。
それでもやはり、子供の意思や人間性、興味関心などを考えて、どういう道が子供にとって幸福になりそうなのか、できるだけ明確にしてあげたいところです。そうすることで、その道に入るためにはどうすればいいか、逆算していき、絶対に再登校しなくてはならないのか、他の選択肢でも可能ではないのかと考えることができます。
不登校の子供たちのすべてではありませんが、物事を深く考える傾向が強いです。この世界で生きていく意味とは何か、この世界でどうやって生きていけば幸福になれるのか、等のような深い疑問を持っていることもあります。そうした疑問に対して、「不登校の決着とは、子供が自らの足で、自らの人生を幸福に向かって歩んでいくこと」と考えることは、何らかの答えを示すことにもなるのではないかと思うのです。
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