不登校ブログその814.起立性調節障害と不登校。
- 不登校・引きこもりカウンセリング「エンゼルアカデミー」
- 2021年6月28日
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お子様が不登校の親御さんの多くが、「起立性調節障害」について調べておられるのではないでしょうか。朝、目を覚ますと、血圧が低くなって起きれない、立ちあがるとめまいがしてひどい場合は失神する、などの症状が見られるのが、この起立性調節障害です。不登校の子供の3~4割に起立性調節障害があると推計されています。思春期の子供に発症しやすいのですが、大人になっても症状が残っている人もいます。
人は、立ち上がると、そのままでしたら体の上部に流れていた血液が下部の方にたまってしまいます。その結果、頭の方の血液が少なくなって立ちくらみやめまいが起こることになってしまいます。しかし、普通は、自律神経システムにより、そうならないのです。
自律神経は、思春期に入って体の成長とともに発達していきます。自律神経は精神的なストレスからも影響を受けるため、思春期において何らかのストレスを受けると、発達中の自律神経に影響が及び、起立性調節障害になると推測されています。身体的な要因と精神的な要因の両方から、起立性調節障害を考える必要があります。
『起立性調節障害の子どもの正しい理解と対応』の著者で医師の、田中英高氏は、起立性調節障害を心身症としてとらえています。心身症と聞くと、心の病気かと考えてしまいますが、そうではありません。病気には、身体疾患と精神疾患がありますが、心身症は身体疾患でありながら、ストレスなどの心理的・社会的因子が大きく関与するものです。
思春期の頃は、いろいろなことでストレスを受けます。子供自身が気づいていないか、あるいは受けているストレスを言葉にできないことがあり、そういう場合、ストレスを静かにため込みます。子供の中には、それが発達中の自律神経に作用して、起立性調節障害という身体疾患に出ることがある、ということなのでしょう(お子様が起立性調節障害を発していると思われる場合は、専門の医師にご相談ください)。
起立性調節障害は朝の起床時に出ることが多いので、どうしても学校に行くことができず、不登校になることがあるのです。そういう子は、昼間や夜は元気であることが多く、最初、起立性調節障害の症状が見られた時は、怠けではないか、サボりではないかと考えてしまいます。もちろん、夜遅くまで起きる等の生活の乱れで、朝起きれないということもあります。その点も考慮しなければなりませんが、起立性調節障害は身体疾患、病気ですので、気持ちだけ、根性だけでどうにかなるものではありません。重症化した場合は、投薬などの必要も出てきます。
2007年に日本小児心身医学会が小児起立性調節障害診断・治療ガイドラインを発表し、診断方法や治療法が整えられてきていますので、起立性調節障害かなと思われる場合は、お近くの医師にご相談ください。
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