不登校の子供の中には、責任感が強くて真面目な子供がいます。与えられたことをしっかりとこなし、積極的に学校生活を送る毎日を続け、手を抜こうとしません。完璧主義でもあるのです。
その完璧主義のために、不登校になることがあるのです。完璧主義はそれ自体、悪いことではないと思いますが、子供は大人のように、「疲れたからちょっと休もう」ということはあまりしません。完璧主義によって、「自分がやることはいつも全力でやらなきゃ」と、土日も部活で休む日が一日もなく頑張り続けたら、どこかでエネルギーが切れてしまうでしょう。
こういう子供に、周囲の人が「完璧主義もほどほどにね」と伝えるのは難しいです。完璧主義は悪いことではないからです。一生懸命、限界ぎりぎりまで頑張っている子に、「手を抜いていいよ」とはなかなか言えないです。
また、完璧主義は就く仕事によっては必要不可欠な場合もあります。人の命がかかっているような仕事や、失敗するともう取り返しがつかないような仕事では、完璧主義の人でないと仕事をするのは難しいでしょう。
そういうことを踏まえたうえで、完璧主義の子に対しては、「生きることはマラソンのようなものであり、自分で設定したルートをずっと走り続ける必要がある」ということを伝えて、ペース配分が重要になるということを理解してもらえれば、完璧主義を若干、コントロールできるのではないかと思います。
完璧主義は、自分に任されたことや、やりたいことに全力で取り組むことであって、これは短距離走にやや似ています。すべてのことに短距離走のペースで取り組めば、どうしてもエネルギー切れを起こしてしまうでしょう。子供がまだ幼い時は難しいでしょうが、成長するにつれて徐々に、走り続けることができるペース配分ができるようになれば、エネルギー切れを防ぐことができます。
人生は長いです。平均寿命でみると、80年くらいあります。不登校になる子の多くが思春期であることを考慮すると、60~70年くらいあります。その間、歩み続けることになります。完璧主義のペース配分でワーッと走って、それでエネルギー切れを起こして走れなくなるよりも、余力を残しながら余裕を残しながら、それだけの長い年月を止まることなく、歩み続ける方が、子供自身もまだ楽でしょう。
また、失敗や挫折にも、学ぶことや得られるものがあり、すべてのことがうまくいく人生だけが、理想の人生ではない、ということも、伝えてあげたいことです。完璧主義で、物事をうまくいかせたいと考えることは大切ですが、失敗や挫折はどうしても避けられません。生きていて、初めて体験することはたくさん起こってくるからです。未経験の物事なのでどうしても、失敗したり挫折したりすることはあります。
そうして挫折し失敗する人生の中でしか得られないもの、学べないものもあります。失敗や挫折をすすめているわけでは決してありませんが、失敗や挫折によって、自分に足りないところや改めるべきところがわかる、ということはあります。何かが足りなくて失敗した、挫折したのでしたら、「自分に足りないものは何か」を自分を見つめて、足りないものを明らかにできます。その結果、足りないものを補って、以前よりも成長することはできます。こうした考え方をするのは、完璧主義だけでは難しいでしょう。
完璧主義であることは素晴らしいことであると伝えつつ、完璧主義以外の考え方も伝えるというのが、完璧主義で自分をしばってしまう傾向の子供への言葉になります。
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