不登校の子供たちと接していて、その子供たちの多くが「情操」が発達していると感じます。情操とは、美しいものに感動する心、他人を思いやる心、善悪の価値基準、自分を超えた存在を敬う心です。不登校の子供たちは、感受性が高く、人の気持ちがよくわかる傾向があります。自分の欲をあまり表に出さず、自己抑制が強い傾向があります。それらは情操の面が発達している証拠です。
現代の教育では、あまり情操に焦点を当てていません。知識を教え、それに基づいて考えさせる「知識教育」に重点を置いていて、情操教育の場はあまりありません。そのため、いわゆる勉強ができることが、素晴らしいことと評価されます。
勉強ができることは、もちろん素晴らしいことですし、それによる効果もあります。ただ、勉強ができることだけで、幸福になれるかというと、それは極端な考え方です。
例えば、勉強はできるけれども、他人を見下し、蹴落とし、自分のことしか考えないような人が、果たして幸福になれるでしょうか。頭が良ければ、ある程度のところまでは個人の力で、上りつめることはできるでしょう。ただ、ある年齢、40歳くらいからでしょうか、そのあたりから他人の協力して仕事をしていく必要が出てきます。自分のことしか考えない人は、他人の協力を得られなくなります。また、他人から嫌われたり、避けられたりして、孤独になっていきます。
本当に幸福な人生を生きるには、やはり他人との関わりを大事にする必要があります。他人に配慮し、誠実で、嘘をつかず、自分だけがすべてを得るのではなく、自分が得たものを他人に分け与えるような人が、他人から評価され、多くの人の信頼を得ることができます。本当の幸福は、そのような多くの人との関わりの中にあるのではないでしょうか。
情操の発達した不登校の子は、人生のスタート地点では、発達した情操ゆえに、辛い思いをすることも多いでしょう。しかし、そうした辛い時期を過ぎたら、幸福をつかめる可能性は高いと思うのです。それは、他人を大切にするからです。他人のことを配慮するからです。すべての不登校の子に当てはまることではないと思うのですが、情操の発達した不登校の子の人生が本格的に輝きだすのは、人生の前半ではなく、後半のような気がします。
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