「頑張れ」という声がけは、相手に対する期待や、いい結果を出してほしいという願いがこもっていて、いい言葉だと思います。スポーツの試合や受験などの場に臨むときに、親しい人から「頑張れ」と声をかけられて発奮した思い出はいくつもあります。
また、「頑張れ」と声をかけてくれる人は、悪意や敵意などは持っていません。心から、相手がうまくいくように願って、その言葉を発していると思います。
「頑張れ」という言葉は、発する人にも受け取る人にも、素晴らしい内容だと思いますが、不登校の状況にあるご家族に対してかける場合は、注意が必要です。
「頑張れ」という言葉は、相手がまだ頑張れる元気がある場合、発奮させる起爆剤のような効果をもたらすでしょう。しかし、その元気がない場合はどうでしょうか。不登校の状況にあるご家族の中には、もう疲れ果てて疲労困憊で、頑張る元気がない人もいます。そういう状態にある人に対して、「頑張れ」という言葉がけは、「もう頑張る元気もないのに、頑張らなきゃいけないの?」とプレッシャーになる可能性があります。
不登校の状況で、頑張っても頑張っても状況に変化がなく、希望が見えてこない場合も、「頑張れ」という言葉はしんどく感じるかもしれません。「もう、できることのことはやってきた。頑張ってきた。それでも不登校の状況が変わる兆候はない。それでもまだ、頑張らなきゃいけないの」という思いを持たせてしまって、声をかけた人の意図とは逆の効果になる危険性があります。
不登校のご家族に、「頑張れ」という声がけのタイミングとして適切な時は、ご家族を見ていて元気が出てきて、そして前に進もうという意欲が出てきた時でしょう。
では、それまでの段階、つまり、元気がまだ出ていなくて、前に進もうという意欲が十分でない段階は、どういう言葉をかければいいでしょうか。「頑張る」という言葉を使いたいと思われる場合は、「よく頑張ったね」「頑張りましたね」という言葉が、相手が頑張ってきたことをねぎらう形になって、いいのではないでしょうか。
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