不登校カウンセラーをしていて、いつも感じることですが、人の心を理解することは、本当に難しいことです。カウンセリングでお母様から伝え聞く、子供の心を理解することは本当に難しく、「自分が理解できていることは、ごく一部なんだろうな」ということを実感します。
それゆえに、カウンセリングでお伝えしていることが本当に、不登校の状況を変えるために有効なことなのか、考えることがあります。これはほぼ不可能に近いことだと思いますが、子供の心を100%、理解できたら、心の中で何を悩み、苦しんでいるかが分かります。それによって、どういうコミュニケーションをとればその悩みや苦しみを軽くできるか、分かります。そのコミュニケーションをコツコツ積み重ねていくことで、不登校の状況を変えていけます。
しかし、100%理解はできないため、ある程度、子供の心を推測して、それを前提に子供へのコミュニケーションの内容をお伝えするしかありません。もし、そのコミュニケーションの内容が的外れのものであったら、状況は変わりません。場合によっては、悪化する可能性もあるでしょう。
不登校の状況を変えるための、困難の一つは、ここです。子供の心を奥深くまで理解することです。子供であっても、その心を奥深く理解することは難しいです。子供だから、簡単に理解できるかというと、そんなことはありません。子供ゆえの難しさもあります。
子供自身が、自分の心を客観的に把握できていないことがあります。大人であっても、自分の心を理解できていないことがあるのですから、子供であればなおさらです。不登校の子供に、いろいろ話を聞いても、「よく分からない」と答えるのは、隠している可能性もありますが、本当に分からないこともあるのです。「どうして学校が嫌なの」「何か辛いことがあるの」と聞いても、「分からない」「分からない」と返事するのは、本人にも本当に分かっていない場合があるのです。
そういう子供の心の奥深くまで理解するには、見る側が、偏見や先入観を捨ててしまうことです。簡単なように見えて難しいことです。どうしても、「この子はこういう子だ」というような視点で見てしまいがちです。長年、子供と接しているほど、そのような視点で見てしまいます。それをいったん、できるだけ白紙にすることです。
また、子供の心の奥深くまで理解するヒントは、顔の構造にあります。人の顔は、口は一つ、耳は二つです。これは、他人に話すことの二倍、他人の話を聞きなさい、ということなのでしょう。つまり、子供の話をよく聞くことです。親ですから、子供の愛情ゆえに、いろいろと伝えたいということはあると思いますし、それを伝えることが必要な場合もありますが、不登校の状況のある段階においては、よく話を聞くことが、子供の心を深く理解するために必要なのでしょう。
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