不登校・引きこもりの子供たちとのコミュニケーションでは、お母様にいくつか気を付けていただきたいことがあります。
1 言葉と心とを一致させること
「言葉と心を一致させること」が、コミュニケーションで最も気を付けていただきたいことです。
言葉と心が一致しているということは、「あなたには素晴らしいところがある」と言葉で伝えたら、お母様の心の中でもそう考えている、ということです。「これからの人生、まだまだ希望がある」と言葉で伝えたら、心の中でもそう考えている、ということです。
もし、「あなたには素晴らしいところがある」と言葉で伝えつつ、心の中では、「この子はダメな子だ」と考えていたら、それは言葉と心が一致していないということになります。そして、いくら言葉で伝えても、子供がその言葉で心動かされることはありません。
不登校・引きこもりの子供たちは、心が落ち込んでいます。迷っています。傷ついています。そのような心を、明るい方向、希望の方向に変えるのは、真実の言葉のみです。心の底から願っていること、思っていること、考えていることを表している言葉しか、子供たちの心を動かすことはないのです。
不登校・引きこもりの子供たちは、感受性の高い子が多いです。そして、他人の心に敏感です。言葉では「あなたには素晴らしいところがある」と伝えても、「この子はダメだ」と心の中で思っていたら、その心の方が伝わります。
2 子供たちへの、コミュニケーションの前と後で、心を平静にすること
わが子が不登校・引きこもりという状況は、お母様の心を乱すのに十分な状況です。不安などの、マイナスの思いでどうしても心が揺れ動いてしまいます。その心のままで、子供たちとコミュニケーションをとると、その心の動揺が伝わります。それによって、子供たちの心をさらに乱してしまうでしょう。
そこで、子供たちへコミュニケーションをとる前には、できるだけ心を平静にしていただく必要があります。心を平静にすると、言葉が心の奥底から出てきます。平静になっている心を反映した言葉になります。そうした言葉は、受け止める子供にプラスの影響を与えるでしょう。
そして、コミュニケーションをとった後も、心を平静にしていただく必要があります。心が不安定な子供たちとのコミュニケーションは、お母様にとって愉快なこと、楽しいことだけではありません。子供たちが甘えられる最大の存在が、お母様です。お母様に、心の中にあるマイナスの思いをぶつけてくることは、よくあります。
そういう場合、どうしてもお母様の心もまた、不安定になります。そのままではお母様自身が楽しくありませんし、また子供とのコミュニケーションをとる時、マイナスに働きます。そういうことを防ぐためにも、コミュニケーションをとった後もまた、お母様の心を平静にしていただく必要があるのです。
言葉と心は密接に関係しています。言葉をかけるコミュニケーションにおいては、心が良い状態かどうか、できるだけチェックしていただくことを、カウンセリングではお願いしています。
Comments