不登校・引きこもりの子供たちの心の状態は、水に例えると、コップ一杯に入っている黒い水のようなものです。黒い水と表現しているのは、子供たちが、「自分はダメだ」という自己否定感、絶望、将来への悲観など、暗い思いを抱いているからです。
不登校・引きこもりが解決するのは、黒い水でいっぱいのコップが、透明な水に入れ替わった時です。透明な水になった時とは、すなわち、子供たちの心が自己肯定感、希望などの明るい思いでいっぱいになった時です。そうなると、子供たちは外の世界に出ていくことができます。
そのために親ができることは、黒い水でいっぱいになったコップを、できるだけ透明な水になるよう、働きかけることです。それが、親から子供たちへのコミュニケーションになります。子供たちへのコミュニケーションとは、黒い水でいっぱいのコップに、透明な水を少しずつ注ぎ入れることです。
コップいっぱいの黒い水ですから、ほんのちょっと、透明な水を注ぎ入れたからといって、すぐにコップすべての水が、透明に変わるわけでありません。理科の実験などでやったことはあるでしょう。スポイトでちょっとずつ、透明な水をコップに注ぎ入れても、コップの水の黒さは、最初はほとんど変わらないように見えます。そこであきらめずに、少しずつ、少しずつ、スポイトで透明な水をコップに注ぎ入れることで、やがて黒さが消えていき、透明になっていきます。
その時、重要なことはもう一つあります。それは、親の心が透明でなければならないといことです。イライラしたり、将来を悲観していたり、子供を裁いたりしてはいけない、といことです。そういう思いを持つと、親の心も黒い水のようになってしまいます。そのような心から発する言葉によるコミュニケーションは、コップの黒い水に、黒い水を注ぎ入れるようなものです。私が、カウンセリングで親御さんに、「心を平静にしてください」とお願いしているのは、そのようなことを防ぎ、あくまで透明な水を、子供たちの心に注ぎ入れていただきたいからです。
親が心を平静に保ち、毎日のコミュニケーションの中で少しずつ、子供たちに透明な水である、希望の言葉、癒しのことば、励ましの言葉を伝えていけば、必ず子供たちの心は透明になっていきます。
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