UA-139114584-1
top of page

子供に対する親の関係性―「評価」の関係と「存在」の関係―

 子供に対する親の関係性には、大きく二つの関係に分けられます。一つが「評価」の関係とであり、もう一つが「存在」の関係です。


 「評価」の関係とは、子供の努力や実績を評価する関係のことです。例えば、手伝いをする子供やよく勉強する子供を褒めることが、この「評価」の関係になります。親も人間ですから、いわゆる「いい子」の方を認めたくなるのは自然なことです。

 この「評価」の関係は、別の言葉で表現しますと、「父性原理」「男性原理」ということになるのでしょう。よく努力する子、実績を上げる子ほど、認めるという原理であり、ある意味、実社会の縮図のような関係でもあります。実社会では、当然のことながら、実績を上げる人がより評価されることになっています。社会的な評価や、収入は、基本的に実績に比例しています。


 この「評価」の関係は、親子の間で適切に作られれば、子供たちは、社会に出る前に、「努力する方が認められる」「実績を上げる方が認められる」と、社会の原理を経験することができます。

 しかし、親子関係が、この「評価」の関係ばかりになってしまいますと、それはそれで問題も起こります。子供からすると、「実績を上げるから愛してもらえるんだ」と、親からの愛情を「条件付き」の愛情と見えますので、本当の愛ではないととらえてしまうことが起こります。

 また、努力しても実績を上げられない子供には、親から認められたくとも認められないということが起こり、自信をもつことができなくなってしまいます。それは、後々の人生に影を落とすことになります。

 さらに、兄弟・姉妹の間で差別が起こる可能性があります。出来の良い方の子供ばかり褒められることになりますので、そうでない子の方がぐれるようなことがあり得ます。


 一方の、「存在」の関係は、子供の努力や実績は除外して、わが子だから愛する、わが子の存在を愛するという関係です。子供の出来不出来に関係なく、子供に愛を与える関係が、「存在」の関係です。


 先ほどの「評価」の関係が父性原理、男性原理と表現できるのでしたら、こちらの「存在」の関係は母性原理、女性原理と呼べます。子供を包み込む愛情に基づいた親子関係です。


 この「存在」の関係は、親子関係には絶対に必要です。もし、この関係が親子関係に全くなければ、子供は親から愛されていると、感じなくなるでしょう。


 しかし、この「存在」の関係ばかりでしたら、子供がわがままに育つ危険性があります。社会の厳しさに全く触れることなく育っていきますので、社会に出た時、大きく挫折することもあります。


 これら二つの、「評価」の関係と、「存在」の関係が、親子関係で適切に発揮されることが、子供が健やかに社会に育っていくための条件となります。


閲覧数:11回0件のコメント

Comments


bottom of page